忘れもしない。
あの当時、恋い焦がれ
寝ても覚めても
あの人の姿が
脳裏に浮かびあがってきた。
一方で
それを打ち消すような
社会的な問題が
周りで頻繁に起こり始めていた。
当時、
校内では
私たちは恩師の強制配転に反対し、
学外では
沖縄無条件返還運動が高まっていた。
海外では
ベトナム戦争反対の運動が闘われていた。
国内では
高度成長政策の
長期的実行プロセスの中で
国内に公害が蔓延し始めていた。
今でいえば
原発反対運動のようなものだろうか?
そのような状況の中で
例にもれず、
私もそれらの運動に
青春の一コマをそこに投じようと
身もだえしていた。
しかし、
そこには私にしっくりいくような運動は
探せば探すほど見当たらなかった。
どれを見ても
深く検討すればするほど
受け入れがたい部分が
次々にうかびあがってきた。
受験勉強の傍らで、
資本主義とは、
資本主義の経済学とは
社会主義とは、
社会主義における経済学とは?
ヒューマニズムとは
世界史の中で
日本の占める位置と役割とは?
次々と走馬灯のように疑問や問題意識が
ぐるぐる回り始めた。