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遠足
数年前 ある人が訪ねてきました。
35歳ぐらいの人で 初対面です。
2時間ほど 二人きりで話しをしましたが
驚いたことにこの間 いちどたりとも
・・・ ニコリともしません。
・・・ 微笑のひとつも洩らしません。
能面のような表情を 終始変えないのです。
なんとまあ ・・・ と感じつつ 別れました。
一年ほどのち
「 彼は 死にました 」 ・・・ という 風のうわさが届きました。
さもありなん ・・・ と 私には納得がいきました。
病名などはなんでもよいのです。
あれだけ笑わぬ人は 人間的な心をもっていないのであって
・・・ これこそが 重病です。
死因もまた そこにあったにちがいないのです。
「 花 」 が咲かぬなら ・・・ 枯れるほかにないのですね。