回顧
問題となるのは
一般には 「 素直 」 に対する誤った捉えかたがあるということです。
たとえば かって 次のような相談を受けたことがあります。
私は 小さいときから
親や家族の者から ・・・ 素直な娘だといわれて育ってきました。
また 親戚の人からも そのように誉められ
私自身 他の姉妹とくらべると
素直だと思っていました。
年頃になって結婚し
いまも 当時とそれほど変わっていないと思うのですが ・・・
身体のこと 夫のこと 子供のことで ・・・ 大変悩んでいます。
・・・ お話を聞けば聞くほど 気の毒な身の上でした。
しかし この方は 根本的なところで
大きな心得ちがいをしておられると思わずにはおれなかったのです。
それはたしかに 人からもそう見られ
自分でもそう思うほどに 素直にふるまってきたかに受けとれるのですが ・・・
はたして 本心からそうしてきたのかどうかということです。
なぜなら 世間的に素直だといわれている人は
多くの場合 気が小さいために ・・・ 自己主張に乏しく
心の中では不満に思いながらも つい断ることができず
従順になってしまうというのが ・・・ 偽らざる姿のようであるからです。
ですから 人から無理をいわれたり イヤなことをされても
・・・ 形の上では受けいれます。
自分で完全に消化してしまえるならよいのですが
・・・ それは 例外的なケースといってよいでしょう。
結局 自分の 「 我 」 を押し殺す度合いが多いわけですから
ストレス過剰の ・・・ まったく窮屈で 不自然な人生を歩むことになります。
あの人は 人格者であるとか
円満な人柄の持ち主である ・・・ などといわれる方のなかには
むしろ こうした傾向の人が多い ・・・ といっても過言ではありませんね。
そしてたいていが身体をやられています。
これはむしろ ・・・ 自然に背いた生きかたなのです。