走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

抗生物質

2017年11月21日 | 仕事
抗生物質の使い方。種類があるので使い方を知っておかなければならない。

教科書上の知識にプラスして良く使うのがantibiogram と言う代物。皮膚感染、上気道感染、尿道感染に対する代表的な抗生物質の効き具合 (Sensitivity と言います) の一覧表。

抗生物質に耐性がある菌が出てくるためです。細菌培養を検査する会社では検体のデーターをずっと集め、毎年そのデーターにより Antibiogram を発表してくれます。BC州ではバンクバー島とバンクーバー周辺の2つが出されています。

そう、菌の耐性具合は地域や年によって変わるのです。

で、先日の患者、腿に蜂窩織炎が。抗生物質Cを処方しました。浸出液が出ていたり創部があれば検体を培養に回してSensitivitiyの高い抗生剤を見つけることができます。しかし彼の場合皮膚の深部で検体が取れる箇所がありませんでした。なので皮膚感染の第一選択抗生剤のCを処方しました。

3日後皮膚の状態は悪化しています。明らかに抗生物質が効いていない証拠。そしてまたもや検体を採取できる状態ではない。なのでAntibiogramとにらめっこ。 Cが効かないということはMRSAの可能性が非常に高い。なのでこの菌に対して効果が高い抗生剤を選ぶ。

1週間後、彼の蜂窩織炎はすっかり良くなっていました。検体を培養に回さずとも治療できる。Antibiogram 様様です。


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