走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

嘘か本当か

2015年09月17日 | 仕事
新患のエイミーは隣町の警察も救急隊も救急室もメンタルヘルスセンターでもよく知られている人。

薬物依存があり、薬物を買うお金がなくなると所構わずお金をくれと人々に迫る。そして思い通りにならないと、自殺をするわと騒ぎ出す。

そんなエイミーが私の町のシェルターに滞在して4日目。既に2回も救急室を自殺企図で訪れている。精神科医にも2回診察されているが、処方薬の変更はない。鬱や不安症の診断はなく診断は人格障害。

そのエイミーが目の前で大泣きしている。鬱なのよ、死にたい。銃があったら今すぐその銃で死ぬわ。車の前に飛び出て死ぬのよ、、、

しかし同時にシェルターに手紙を書いて。医療者からの指示がないと昼寝もさせてくれないの、と他にも死を考えている人は思いつかないようなことを言う。

自殺企図があれば病院の救急へ送らなければならない。しかし、私は送らなかった。可能性が低いと判断したからだ。

翌日シェルターへ行って一番に言われたのは、エイミーが昨日の夕方、髭剃り用のカミソリで手首を切って救急へ行ったわ。10箇所縫われてすぐ帰ってきたけど、と。

人格障害の自殺企図は珍しくない。成功する人もいる。なので鬱と同じくしっかり判断しなければならない。

縫合部位を見るととても浅い切り傷だった。
あーあ、難しい患者を診ることになった、、、、



公園のすぐ横にこんなに散らかして、、、、だからパブリックから嫌われるのよ。




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