走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

行き違いの心

2022年10月11日 | 仕事
どうして自分を信じようとしない。疑ってばかりいる。一人前として認めてくれない!

と彼は母親の事をなじります。

母親と喧嘩をする度に、薬物に手を出してしまう彼。問診中に彼は先の事を言いました。

んんんんんん、私も母親の一人として、気になるコメントだったので、聞き返してみました。では、信頼を得るためには自分で何ができると思いますか?と。

そのチャンスさえくれないから、僕は信頼を得られない、と返ってきました。なんだか自分の息子と押し問答をしているみたい。

親なりの思いと子供の思いが伝わっていない状況。あるあるだ。子供を一生自分の大きな翼の中に隠しておくわけにはいかない。独り立ちできるように飛び方を教えるのは親の役目だが、どう飛ぶかを決めるのは本人。人生の経験がある分、失敗が目に見えている時はどうしても口出ししたくなる。転ぶと分かっていても放っておける親はそんなにいない。自立を促す、と子供を守る。この二つのバランスをどう取るか?そこが難しいのだ。

子供は子供で人生経験の少ない分、視野も狭い。世の中を知らない分、怖さを知らない。

大事なのはコミュニケーション。怒りを前面に出さず、自分の気持ちを相手に伝えれるかどうか、そこが大事だと思う。そんな考えが走馬灯のように頭をかけ巡りました。息子は今月末に父親になります。もう子供ではなくて立派な大人になった息子。

患者の彼もいつかわかる日が来るはず、と思いながら、、、、

冒頭写真: こちらはスキー場のあるサイプレス山から北へ連なるフィヨルド沿の山々が見える島の北部。


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