走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

冷汗とスコープ

2021年12月20日 | 仕事

2週間前の話です。私の免許を管理する団体からマスメールが来ました。スコープの変更のお知らせです。読んで真っ青になる私(この下り多い私)


スコープと言うのはNPとして許可されている行為の枠組み。そこを逸脱すると罰せられたり、その逸脱した行為で何か起こると守ってもらえない、そんなガイドという代物。そこに新しく加わり、1月から可能になるものに私が既にしている行為が、、、、、


麻薬の処方についてです。コロナ禍から始まったこの処方。最初は乗り気ではなかったけど、患者にとってベネフィット(ためになる)とわかってからはどんどん処方してきた。医師会で勉強会をできるように打診するぐらいの勢いでやっていた。しかし同じNPの中では懸念する人もいて、美加はガイドラインの解釈を間違えていると、言われたこともあった。しかしガイドラインのどこをどう読んでも、間違っていないし、そのNPが言う理屈も理解できなかった。もちろん薬物依存医療をしている医師にも相談したし、他のNPにも相談したこともある。だって間違ったことはしたくないから。


しかしこうしてカレッジ(免許を管理する団体。カナダでは医師も薬剤師もそれぞれのカレッジが免許を管理している。大学と言う意味ではありません。アメリカはボードと呼んでいますね)から正式にもらうと、しまった!!!!が頭に響く。しかし翌日だってその処方が必要な患者を診るわけだから、今更処方できません、とは言えない。それに1月まで待つこともできない。患者のケアの継続の責任感に燃える私。


慌ててカレッジに特別許可を申し出る。今までの過程、今のその処方を受けている患者数、そしてカレッジに相談しなかった謝罪などを書いた。スコープはスコープでそこに書かれていない、グレーなかんじの行為をカレッジから特別許可で行使できることもあるのだ。それを狙ったわけ。


その日のうちに返信があった。スコープの変更は、あなたのように処方をしているNPを守るための変更を正式に行っただけです。 NPをサポートするため。あなたは間違っていませんよ。そしてスコープの変更等は、議決されてから施行開始まで1ヶ月間を置かなければならないから施行日が来月になっているだけです、と。


良かった〜


医療の変革が(特に薬物依存医療関連)急速に進んで、スコープなどの変更が遅れてしまうのは、仕方のないこと。それだけのことだった。と胸を撫で下ろすのだった。


こんなやりとり、看護師部門も同じです。医師だって、薬剤師だって、全てのプロフェッショナルに共通することです。だから質の確保ができるわけです。日本もその方向で行きませんか?個人の道徳観や知識に任せるにはあまりにも世の中が複雑化していると思いますよ。



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