走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

典型的な

2015年04月02日 | 仕事
私が在学中にフォーカスしていたのはメンズ ヘルス。男性は女性に比べ平均寿命が短いことは誰しも知っていることだろう。統計を見るとプライマリーケアを訪れる日数も少ない、危険な仕事に就く比率も高く職場での事故死、障害率も高い。危険なスポーツや行動が多くそれによる怪我、死亡も多い。自殺が一番多いのも中高年層の男性。

、、、と医者を避けギリギリまで診てもらわない。危険をかえりみない。

なぜこのような男性像が浮かび上がるのか?それがテーマだった。

詳しいことはさておいて、昨日もまさに典型的な男性が新患としてやってきた。20代後半のブライアンは5年前に離婚した。当時1歳だった息子の親権でもと妻と裁判所で争った。それ以来、不安と鬱症状に襲われた。病気をしたことのない彼なのでプライマリーケアもいない。お酒を飲んでいるときは症状を感じないと酒量が増えていった。しかし酔いが覚めると、また症状に潰されそうになる。仕事に行くこともままならぬ程に悪化し友達に連れられて救急へ行き、そのまま入院。

退院後プライマリーでフォローアップをするように言われ、「そんな人はいない」の一言が言えず、薬がなくなればまた酒飲みの日々に戻り、、、、

5年もかけて徐々に症状は悪化していった。幸い仕事も家も失っていない。しかし仕事場に知られてしまい、バツの悪そうな彼。離婚や解雇、そして愛する人を失くすなどで鬱になったり鬱っぽくなったりする人は多い。プライマリーケアはそういう時のサポートにもなれる。一人で塞ぎ込むことより外に助けを求める。簡単なことなのだが男性にとってはやり辛いことなのだ、と改めて感じたのだった。



川によって侵食されできたグランドキャニオン。遠くから見ると翡翠のような色の川水です。

PS 今回は記念すべき100件目の仕事カテゴリーのブログでした!

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