走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

狂言

2020年03月26日 | 仕事

頻回に書くけど難しい患者が多い私の患者層。

石にかじりついても踏ん張る人が多い。自分の思い通りにいかないと脅しを使う人だっています。だいたい脅しに使われるのは

訴えるぞ!(上司、カレッジ、新聞)
が大多数。殺すぞ、とかの脅しはありません。カナダでは身体を脅かす行為は違法なので(つまり逮捕可能)、患者さんはその辺を抑えているのか直接的なダメージの脅しはないのです。

そして狂言と言っていいのでしょうか、、、死んでやる!人(不特定)を殺すぞ!もあります。今日はこの後者でした。メンタルヘルスの世界では、精神科系疾患で自殺や他殺に発展する事があります。なのでこのような発言には大きな赤旗が上がります。個人の人権を無視して強制的に入院させる事ができます。医療者としてこれを見逃すと問題になります。しかし今日のは状況的に病的ではなく、押し問答が続いて、自分の思い通りにならないから、死んでやる!と言う状態でした。

特に今は新型肺炎の為に対面診察は最小限にする事を勧められている状況。こんな会話になるとは想像せず、電話応対をしていると、ここまで発展したと言うわけで患者の声しか情報源がありません。さあ、どうするか、、、、。彼は長い間人格障害を患っています。しかし自分には他の精神科系疾患があると思い込んでいます。幻覚幻聴、自殺や他殺企図に医療者がどう反応するかよく知っています。しかしどんなに言葉で訴えてもこの方は病的な方とは決定的に違うんですよ。その辺をよくよく観察して、記録して、考えて警察は呼びませんでした(強制入院はさせなかった)。

彼は施設に住んでいるので、施設のスタッフに連絡して、今の自分の判断を伝えました。時間がかかるし判断に悩むんですよ。でもね狼少年になってもらっては困りますから、きちんと診察はしなければならないのです。ああああああ!

冒頭写真。川ですが潮の満ち引きがあります。ひざ立ちカヤッカーが3艘いました。



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