走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

門出

2015年10月28日 | 仕事
アルコールや薬物依存から抜け出すのは簡単ではない。しかしその難しさを越えて成功の道へ向かった患者もいる。

タイラーと出会って3ヶ月。薬物依存のカウンセラーとのセッションを繰り返した。彼の以前の記事はこちら

嘘をつかずに、飲んでいないときっぱり言えることがなんて素晴らしいことなんだと笑顔で話す。不甲斐ない父親と自分を責めていた彼の面影はどこにもない。過去を糧にして前向きに自立した人生計画を立てている。

カウンセラーからストレス対策など色々なスキルを取得しているのが会話から伺える。

そんな彼が仕事をオファーされ、それを受けるためには州境の田舎へ引っ越すかもしれないという。

素晴らしいことだが、私は自分の考えを正直に伝えた。

まだ3ヶ月。日が浅すぎる。回復が著名だけど、最低でも6ヶ月はこの経験を続け自信を培って欲しいと。自信の築き上げが足りないと、ちょっとしたことで逆戻りしやすい。それに同じようなサポートがあるところであれば話は別だが人口を考慮すると同じようなサポートが受けられるとは思わない。そういう下調べも必要だと伝えた。サポートがあるとわかるまでは、今の状態で送り出すことに不安を覚えると。

タイラーは頭を深々と下げ、今まで自分のことは自分で解決しなければならないと思っていた。ここへ来てから助けを求めることが大切だったんだとつくづく思った。感謝している。仕事のことも正直に言ってくれてありがとうと。

さあ、彼はどちらを選ぶのでしょうかね。





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