走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

親の心境と子供の反応

2016年05月19日 | 仕事
30代の彼女は原因不明の痙攣を患っている。先月脳神経内科にようやく診てもらう事が出来たが、この痙攣が治る見込みはまだない。その上彼女の記憶にも障害が出てきた。痙攣がいつでも起こるので目が離せない。お風呂もキッチンに立つときも夫が見張っている。夫は1年近く介護のために仕事を休んでいる。

2人の子供と夫と暮らしている。夫は子供達は彼女の病気を理解しサポートしていると言うが、彼女は子供に馬鹿にされ母親としての役目を果たせない事に涙する。

夫が言うには、8歳の息子はママは僕が殴ったて覚えてないんだ。毎日馬鹿になってきている。僕の方がずっとお利口さと言う。それに夫の方も以前より口調がきつめで夫も彼女の事を馬鹿扱いしているように聞こえる。

あらら、、、私がした事。

訪問看護へ紹介- 訪問介護士がお風呂や着替えを手伝う。その間夫は介護から解放され休む事ができる。
地域のファミリーサービスへの紹介- 子供たちがケアサービスを受ける事ができる。
記憶は彼女の頭に頼らず、他のツールを使う。スマートフォンのアラーム、メモ、カレンダー、彼女が忘れても読み返す事ができるから。
夫も彼女も2人の気持ちを聴きノーマライズした。
子供の心理、ケアについて説明した。

子供は親の病気や離婚、災害時に不安になる。しかし親を守りたい、心配をかけたくないと平気なふりをしたり、大人びた行動をとる。親も辛い時期だが子供に子供でいていい事を何度も伝える事が大事。子供は記憶力が大人に比べて低いから。繰り返さないと真の理解には繋がらない。難しい時だが子供が子供でいれる時間を作ることができれば上出来だ。ロールリバースと言って親が子供になり、子供が親になる事は絶対避けなければならない。

そして家族の一員がどんな状態になってもお互い尊敬する家族関係は変わらない。誰が賢いかを討論するより、尊敬の人間関係を子供に伝えて欲しいと。

スタバでちょこっとデートです。





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (のびた)
2016-05-19 18:09:15
脳内に障害があるのでしょうか
普通ではない親を見て 子どもの心も複雑ですね
母親も哀しいし 子どもは普通の親を求めているでしょう
心のケア 難しいけれど家庭が壊れないように必須ですね
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のびたさんへ (美加)
2016-05-20 12:11:11
離婚は仕方なく起こる事ですが、親が自分の事ばかりに気をとられて子供のケアを怠ると、子供に影響を与えてしまうのです。我慢強い、賢い、気配りの出来る子供たちが最も危険です。そういう子供たちに親が甘えてしまいやすいですから。親になったのだからその責任をしっかり果たしてもらいたいと思います。と、口で言うのは簡単ですけどね。
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