走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

治療計画

2015年07月06日 | 仕事
カイルを久しぶりに診察した。彼女とシェアで部屋を借りてホームレスではないのに、なんだかやつれたよう。彼の以前の記事はこちら

主訴は3つ。

倦怠感と息切れ
足の痛み
手の筋力低下

そして彼にはすでに治療計画が立っていた。
胸部のレントゲン
足のレントゲン
腕と手のレントゲン。

なので彼はレントゲンの指示を出してもらおうと、そればかりに気持ちを集中させていたので問診は難しかった。それでも必要な情報を得て触診を終える。血液検査の結果はすでに出ている。

私の治療計画は
血液内科への紹介(3度連続で血小板の数値が下がり続けている)。
ハマートーという足の奇形がある彼。それ専用のカスタムオーダーの靴を作ったのは6ヶ月前。それを最近履いていないので履くように指導。
首のレントゲン。その結果次第で神経内科への紹介。

カイルはわたしの治療計画が気に入らなかった。何せ彼のと随分違っていたから。説明をしたが全く聞く耳を持っていない彼だった。とにかく不必要なレントゲンは不必要な被曝に繋がるのでしないとはっきり断り帰ってもらった。

で、レントゲン結果が返ってくると首のレントゲンの他に足のレントゲンもあった。もちろん結果は異常なしだった。

レントゲン医は必要と思えば私たちの指示がなくても自分で指示を出すことができる。しかし普通は一言の電話が入るものだ。それはなかったが普段のカイルを知っている私にとって驚くことがなかった。彼の訳も分からない論理で大騒ぎを起こしたのに違いない。静かにさせる方法は彼の言うことを聞くことだ。彼を説得させるのにはかなりの労力が必要。忙しい医師なら彼を黙らすために早くにしてほしいことを書いたかもしれない。

カイルにだから足のレントゲンは今の時点で必要ないって言ったでしょ!と釘を刺しておいたが、わかってもらえたでしょうか?期待しないでおこう。



ナチュラルブリッジ、ヨーホー国立公園。川が石を削ってできた橋。自然の力の凄さを感じます。

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