走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

大腸ガン

2015年07月05日 | 仕事
近年BC州では大腸ガンのスクリーニングプログラムが始まった。50才以上の男女が対象となる。これは一般人口を対象としているので家族や親戚に大勢の癌患者が入る場合、もしくは一等親に60才以下の年齢で大腸ガンに診断された人はハイリスク グループと呼びこの対象にはならず、ハイリスク用のスクリーニングプログラムが起用される。

プライマリーケア プロバイダがオーダーを出し、患者は糞便検査をする。以前の鮮血検査と違い、便の中に血が混じっているかどうか数字を出す事ができる。ある程度の数値が出ると、このプログラムをしているがんセンターの看護師が電話で詳しい症状の問診を取り大腸カメラへと進む。カメラの結果が癌でなければ定期的に糞便検査のお知らせが来るようになる。フォローアップの仕組みは乳がんや子宮頸部癌のそれに似ている。

糞便検査が陽性だと、あー癌なんだと落ち込む患者が多い。しかし癌と診断される人は以外と少なく、殆どがポリープからの出血。なら、しなくても良いのでは?と思われるかもしれない。ポリープからの出血でも出血は出血。1日に大さじ一杯の出血をどこからか毎日していればかならず貧血になります。ポリープはしっかり治療してもらったほうがいいのです。それに癌ではないと確証してくれるのは検査以外に何もないのです。では、糞便検査を飛ばしてカメラを毎年やればいいじゃないか?と思われるかもしれません。予防医学はいろいろなことを考慮して考えられました。検査の有効性、体へ優しい検査かどうか、コストは?癌の診断率は??などなど。大腸カメラをしたことのある人はわかると思うが検査前に腸を空にする作業、そしてカメラ自体。気持ちの良い検査ではない。カメラ中にカメラで腸を穿孔してしまう可能性だってある。なので毎年国民全体にするいうなものではない。今の糞便検査の開発はカメラが必要な人を選択する非常に画期的なものなのだ。CTはコストも高いし腹部CTは最も放射による被曝量が高い検査だ。無闇に行う検査ではない。MRIもコスト高だ。最後に忘れてはならないのは、大腸ガンは末期になるまで無症状。早期発見ができないと治療の成功率もグッと下がる癌だ。それを早期に発見できる。それも糞便検査という簡単な検査で。

なのに私の患者の中には拒否する人が数人いる。便の検査は絶対やらないと決めているからと。うーん利益が大きいのに、、、、

50才を過ぎたら大腸癌のスクリーニングを受けることをお勧めします。



恐竜の発掘量が世界一のバッドランドに到着。息を呑むような景色です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。