走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

公費の無駄遣い

2018年02月18日 | 仕事
人間は自分がいる環境に慣れて自分の状況に疑問を持たなくなる。環境に適応していると言う見方もあるだろうが、それでは発展は望めない。学問もしかり。先人の唱えに疑問を持ち探究心で突き詰めるから新しい発見がある。

私は、日本の一番の弱点はここだと思う。社会事象に疑問を持たない人が多すぎる。外へ出て外から見る日本は不気味なぐらい外に目を向けない。自国のテレビやインターネットの情報に左右され、全員が同じ方向を向いている。だから自分も状況を当たり前だと受け止めて疑問に思わない。

男尊女卑が未だにまかり通り、健康を害する喫煙から国民を守ることさえ徹底していない (受動喫煙が未だに起こる国)、ハード産業は外国へ流れ、残るはソフト産業と言う深刻な状態に誰も意を唱えない。政治家の給料はバカ高く、権力者の利権は守られる一方低い賃金で働かされている国民。過労死の状況は改善されず、世界トップクラスの自殺者の多さ。

ツイッターサイトで見つけた記事に怒りを覚えた私は厳しいコメントを沢山書いた。その反応のなさに愕然とした。こんな医学論文が世界へ出た事をおかしいと思わない国民性を。その研究は東大が行い、文部科学省が費用を出したコーホートの研究。コーホートとは条件の違うグループを比較研究する事。1つは若い女性の看護師が昔ながらの看護帽を被り膝上丈の白衣を着てパチンコ店に来る人を健康チェックに来ないかと勧誘する。もう1つのグループは普通の服装で勧誘する。前者の方が参加者が前向きな経験が出来たと言う結果。

男女平等、人権尊重を重んじる国ではこんな研究デザインは研究前の倫理委員会で許可がおりない。この研究デザインは女性の性を売り物にする根本的な考えが現れていて悪寒が走ります。英語訳はマイルド エロチック ナース コスチュームですよ!!!!マイルドと書いてあろうが関係ありません。

お金を払うから健康チェックに来てくれと言う研究はどうでしょう。さぞかし参加者は前向きになって健康チェックに来る事でしょう。しかしお金を医療者側が払う医療はありえない。この研究は同じ事なのです。

写真を見る限りではそんなにエロチックではない、なんてコメントを出している人も。時代遅れの看護師像を使うだけで、その本意が疑われます。

誰もしたことのない研究とか、タブーに取り組んだとか、当たり前ですlこんな研究に公費が使われたと世に知れたら、多くの団体から抗議が出るのが先進国ですから、このような研究が出てくるはずがありません。

それに研究は だからどうした?の部分が大切なのです。この研究結果は若い看護師が短かいスカートをはけば国民の健康度が上がる、だから看護師は昔に戻ってズボンよりスカートを着るべき、看護師は女性でそれも若いのに限るとでも推奨するのですか?モラルが低すぎて話になりません。

ま、私のツイッターのアカウントのフォロワーはそんなに多くありませんから、反応が少ない事を全ての国民がそう思っているなんて勘違いするべきではないと落ち着くと思えるんですけどね。研究者と出資者のモラルの低さは決定的です。


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