走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

治療をするにあたって

2018年01月27日 | 仕事
カナダは移民の国なので、昔も今もどんどん移民を受け入れている。もちろん医師も看護師だって移民してくる。自国で医師免許を持っている人がカナダで医師になろうとする過程は以前書いた

で、その外国で医師だったカナダの研修医(International Graduate Residence と呼びます) と関わる事が。COPD (慢性閉塞性肺疾患) の治療について話しをていたら、その医師は治療法を全く知らない。ええええ?と仰天。慢性疾患にはスタンダードな治療のガイドラインがある。それに従ってするので簡単 (複雑なケースを除いて) COPDの治療は世界中、スタンダードはほぼ同じなのに、、、。

この人は研修医をしているって事はカナダの国家試験は合格している。それなのに治療方法を知らない(薬の種類の話をしてもチンプンカンプンって表情)???実はこの人???なのはCOPDだけではない。色々な事が???で患者からのクレームが絶えない。

私は思ったのだ。自国で医師をしていたんだからそれなりの医学知識を持っている。だから国家試験だってパスした。でもなんらかの理由でその知識が患者に活かせない。知識と現実が繋がっていないのだ。

私はその反対。病態生理をカナダで学んだ時は宇宙語にしか聞こえなかった。骨や筋肉の名称を全て暗記しているわけではない。今でも頻回に薬のモノグラフ(薬品会社が書く、作用や副作用などの薬の情報)も参照する。ガイドラインも参考にするし、医療系の情報はこまめにチェックする。わからないことにぶつかった時、どこへ行けば答えを得ることが出来るのか知っている。勉強会にも学会にも積極的に参加している。

医学の知識は無限大。宇宙のように広く全てを知りうるのは不可能。サイエンス系の学士の後にみっちり4年間、医学を学習、その上2年の研修をする医師には比べ物にならない程の知識だけで働いている私。それでも診療をこなす事が出来るのは診断過程を理解している、そして検索能力が備わっているから知らない事の答えを出すことができるのだ。

ナースプラクティショナーがBC州で誕生して今年で13年目。それを目の当たりにして医学部はプライマリーケアをする医師には4年の学習は不必要かもと見直す声が上がっています。

そりゃあそうですよ。4年の看護学士、最低2年の看護師としての臨床経験、2年の修士で誕生のNPが立派に仕事をこなしているんだから。専門医や研究者は別として、プライマリーケアにも同じ年数を課すのは?って疑問が出るのは当然なのかも。

続く。

引き潮の潮溜まり。自然が作り出す模様って綺麗い。


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