走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自己診断

2020年07月12日 | 仕事
インターネットのおかげで症状を簡単に調べることが出来る。病名だって。で、彼女は皮膚の色素変化(いわゆるシミ。白人の彼女はおでこと鼻全体に。日光浴が好きで日焼け止めを使わないのは良くないよ〜)を心配して再診。問診と身体所見を終えてMelasma と言う診断をした。彼女は即検索をして原因疾患のひとつアジソン病を見つけたらしく、アジソン病があるからアジソン病と診断して欲しい、検査をして!と迫る。

ああああああ

皮膚の色素変化=アジソン病 は成り立たない。診断というのは以前にも書いたが、直線的に診断ができる疾患は稀。だから医師やナースプラクティショナー(NP)は臨床推論を大学で時間をかけて学ぶのよ。完全な診断ツールはインターネットには存在しないのよ。そんなものができたら医師やNPは無用になるわ。って言うか診断の複雑さを考えると永遠にできないでしょう。

やんわり説明すると、「誰も私の事を信じてくれない。体調がおかしいってずっと言っているのに誰も真剣に取り組んでくれない。だからナチュラルパスに高額支払って診察してもらって勧められる高いハーブを飲んでいるのに。よくならないのは何故?きっとアジソン病よ!」

と全く非論理的な事で捲し立てられる。彼女は一人ではありません。無保険治療に全財産はたいていホームレスなった人を知っています。

こう言うところをほぐして行くのも私の仕事です。


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