走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

診断書

2020年08月21日 | 仕事
診断書の書き方を学校で教わったことはない。経験を重ねながら自己流で学んだ。診断書にもいろいろある。形式が決まっていてチェック式だったり、穴埋めだととても簡単。自由形式が一番面倒。必ずどこへ何の目的で提出するのか尋ねる。ナースプラクティショナーとしてのスタンダードやガイドライン、医療倫理など考えながら書かなければならない。

で、時折患者から「こういう風に書いてください」と言いつけられる事がある。しかし医療者として書ける内容と書けない内容がある。それをわかってもらうのにも時間がかかる。どんなに説明しても理解してもらえない時もある。

大体そういう時は、患者が診断書を利用して周りの状況を自分に優位にしようとするとき。例えば病気により弱視になり細かい仕事が出来なくなり、職を失いそうだから、一筆書いてくれと。

弱視である事実は書けても、その人を雇用し続けるようにお願いするのは私の立場ではない。同じ雇用先で違う仕事に着くように一筆入れてくれ!これも私ではなく貴方が交渉すべきところ。こんな診断書では解雇になる!と叫ばれても解雇にするのも私ではない。見殺しにする気なのか!と言われてもそれも私ではない。

Duty to accommodate と言う言葉がある。職員の身体状況により相応しい仕事場を作る事だ。様々な職種がある大会社では職種変更が会社内でできるかもしれない。しかし小さな会社ではできない。不当な理由(例えば病気による差別で解雇)であればアドボカシーなどへ相談することも出来る。だから医療者を使って雇用主にあれをしろ、これをしろと言うのは筋が通らない。

患者をサポートしたい気持ちは変わらない。しかしお門違いの注文は受け付けません!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。