走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

見えなくなっていた自分

2019年02月22日 | 仕事
あーあ、これは典型的な例だな、と深く反省。

この彼がとうとう無理かもと言ってやって来ました。足の親指は真っ黒です。ミイラ化がはじまっています。2年前指が枯れて落ちると私は言ったのに、それは起こりませんでした。しかし気温が低くなると疼くような痛み、足の血色はみるみる悪くなる、しかししばらくすると血色は戻るが続いていた、と彼は言います。2週間前から色は戻らずズキズキとした痛みもどんどん悪くなったと。

足首から下はむくみ、皮膚の色は赤みを帯びている。痛みは膝の下まっでズキズキすると。

しまった、2年前私が診たのは凍傷だけではなくて下肢の血流不全がベースにあったのかも。そうなると納得がいく。気温が下がると誰よりも早くに凍傷の症状が出ていたという事。だあああああああ、2年前に血管外科に紹介していたら、喫煙を指導していたら、抗血栓剤を開始していたら、、、、色々なことが頭を巡った。

極寒の冬とホームレスの図式に凍傷しか見えていなかった。もっとしっかり問診をしていれば、、、と悔やむのだ。もちろん2年前以来受診に来ないのだから、そんな事も知る由もないけれど。しっかり診察しているつもりがこんな落とし穴に落ちている事に気付かないなんて、と改めてこの仕事の難しさを感じた。

緊急で血管外科へ紹介諸々を始めた。

朝から冷や汗を流した日でした。


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