走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

リスクを知りつつ

2024年01月15日 | 仕事

よる7時に専門医からかかってくる電話。患者の相談。


専門医が処方している薬と私が処方している薬。相互作用で突然死の確率が高いと最近注意の対象になったコンビネーション。すでに薬局からお知らせが来ていた。


私は私の処方の意図や患者のベネフィットについて書き添えて返信している。


ハームリダクション


患者にとってリスクだと知りつつも、最悪の事態を回避するために処方をしている。


突然死の可能性が高いが、私の処方を出さなければ患者は違法薬物を使用してODにより死亡する。それを避けるため。幸いこのコンビで数年経っているが患者は生きている。それに治療を始める前よりずっと調子は良い。


専門医は専門医側の書類を記入するために私に電話をしてきた。


そうだよね。僕もそう思うよ、と話す。念のためにこれとこれも検査しておいて、と頼まれた。治療方針は変わらないが患者の現時点のリスクの証明になる(私はもちろんしている。安い検査だけで、高いのはやめていたが専門医からのリクエストとなればしますよ)。


治すことだけが医療ではありません。このようなフィロソフィーも日本で当たり前になってほしいですね。




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