走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

グレーな中で

2019年07月30日 | 仕事
今の仕事で1番難しいと思うことは、白黒つけられない時。教科書通りにいかない時。いわゆるさじ加減が重要になります。
そのさじ加減にもエビデンスが重要なのですが、それが当てはまらない時もあります。

なぜそれをするのか、きちんとした理由があり、他に説明できれば大丈夫となります。その理由がEBP(エビデンスを元にした医療) なのですが、EBPがない時にどうするか?

例えば覚醒系の薬物を利用していることは明らか。
心不全の治療薬にその覚醒物質と併用すれば突然死する症例報告の段階の薬があります。しかしこれははっきりエビデンスが出ているわけではなく、机上の推論と数例の症例報告です。ある専門医は処方を避けます。しかしある専門医は積極的に使用します。で、私は?

積極的に使用する専門医が、プライマーに戻って処方してもらって、と言うので自分の仕事に。わたしは可能性のあるものは避ける傾向があるのですが、専門医によって処方されて数ヶ月。それを辞めるのはなんだか筋が通らない。迷います。

患者が覚醒系の薬を使用しなければ全て良しなのですが、そうでないから困るのです。辞めるための指導の他に危険性なども話さなければなりません。

で、結局処方しました。理由は患者にとってどちらにベネフィットがあるか、そんな視点から決めました。覚醒系の危険度を知りながら使用している患者。症例数が高くない組み合わせで死亡する確率と、心不全を治療しないが為に死亡する確率。どちらが高そうか?で決めました。それを比べるEBPもないわけですが、現在ある情報を全てかき集めて決める。それがベストでなくても最悪の中良い方法を選ぶ。ハームリダクションな考えのもとに決めました。

プラクティス、プラクティス、、、永遠に続きます。



日本のオートキャンプ場とは異なり、このような林の中にポツンポツンとキャンプ場があるので、まさに森林浴を楽しめます

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