走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

どこまでも落ちていく

2019年02月01日 | 仕事
転げ落ちるとはこの事です。

麻薬依存の治療をしていた彼。毎日薬剤師の指導の元薬を服用しなければなりません。服用に来ない時には処方者である私に連絡が入るようになります。

12月ごろから、1日、2日、と時々服用に来なくなりました。違法麻薬を再び使うようになったと診察中に彼は言います。何がきっかけだったの?ピアプレッシャーと言いました。ホームレスの彼はホームレス仲間との繋がりが断ち切れません。それ以外の社会の接点が無いのです。仲間がしているから、、、、と彼は言います。

服用に来なくなる日が多くなり、新年になってからは終に6日連続で服用を逃したので自動的に処方箋は無効となりました。

アウトリーチ中に声をかけました。他の薬をトライする事を承諾しました。以前の薬よりもっと厳しい規則を守らなければなりません。診察に毎日遅れてやってきます。それでもなんとか診察し、処方を繰り返しました。4日目。とうとう来ませんでした。午後からは勉強会で隣町に行っていた私にオフィスから電話が入ります。

彼が来たけど私がいないことを伝えるとクリニックの前の建造物を蹴ったり叫んだりしていると。

翌週も同じこと。予約した時には来ず、何時間もしてからフラッと現れて今すぐ見て欲しいと言います。しかしどれも時間外。それが3日続きました。

顔に蜂窩織炎を起こし、身なりもかなりひどい彼だと聞きました。時間内に来れば患者の診察の間にねじりこみます。でも時間外は診ません。

治りたい意思をある程度行動に示さないと(この場合診察に時間内に来る)、再開しても失敗するのは目に見えていますから。患者を追い回すのは私の仕事では無いですからね!!!


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