走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

値ではなく人間を治療する

2018年03月23日 | 仕事
スキー場の気温はマイナス1度。下山してみるとすっかり春。自宅周辺は16度!さすがカナダで一番に春が来るBC州だと言うことを実感。



先日の勉強会。循環器科医が高血圧について講義。何せ最近カナダとアメリカのガイドラインが変更になり何故かカナダとアメリカで血圧の目標値に差が出たので、それについて。

で、会場から質問。血圧をターゲットに落とすのは簡単ではない。値を2や5や10落としたら、それぞれ心筋梗塞や脳出血で死亡する可能性の差はどれくらいなのですか?と。

これは的をついた質問。今まで低ければ低い方が良いとガイドラインの値を目標に生活指導をして薬を処方していた。しかし実際は値が重要なのではなく最悪の事態を避けれるかどうか?なのだ。値だけに注目すれば治療する側は薬の増量、追加などをしなければならない。いわゆる薬漬けになってしまうことも。それは避けたい。だって血圧が140と135で最悪の事態の可能性がどれくらいなのか?もし可能性が同じならば薬の増量も追加もしなくて良いからだ。

私はもっぱらこの方の研究チームが作った計算表を使う。沢山のリスクファクターを使った計算式。血圧だけがリスクファクターではない事を患者に説明する事が出来るから(100個のスマイリーマークがあって、リスクファクターのレベルで薄青のファイスが笑い顔からピンク、そして赤の悲しい顔に変換されるのだ。ビジュアル的にも抜群)。

決して忘れてはならない。私たちが治療しているのは人間であって値ではない事を。

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