走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

薬物中毒 その4

2016年09月29日 | 仕事
痛みの目的以外の目的で麻薬を使用していて前回書いたように依存のスペクタクルの3番目や4番目になるのは依存症状がひどくなっているから。診断はOpioid use disorder と言う。日本語訳はオピオイド 使用障害となる。オピオイド中毒とか麻薬中毒ではない。

麻薬を痛みに使用するのは癌性の痛みや術後や怪我の痛みだ。癌は進行性があるので完治した例を覗いて痛みはずっと続く。痛みのミットは増えるだけだ。術後や怪我の後はその浸潤により痛みのミットが活発だ。しかし回復とともに痛みのミットは普通のミットに戻っていく。

しかし傷が回復しているにも関わらず、痛みが減らない人がいる。これが要注意なのだ。ファントムペインをご存知ですか?足を切断された人が足はそこにもうないのに痛い痛いとない足の痛みを訴える。そう、そこに痛みの原因がなくても痛みを感じることがあるのです。何年か前に行った学会で慢性疼痛の患者さんにする簡単な説明を聞いて感心した。

背の高い草むらに1人の兵士が歩いたら?草は元の位置に戻りどこを歩いたかもわからなくなる。
では何百人もの兵士が同じ草むらの道を歩いたら?草は押しつぶされどこを通ったかはっきりわかり、次の兵士も同じ道をとるでしょう。

慢性的な痛みはこれなのです。

一度できてしまったパスウエイ(通り道に)に痛みのメッセージが通いやすくなるのです。

続く



ハロウインの飾り付けが始まったようで。干草で作られたミニオンと蜘蛛とジャコランタン、芋虫ですよー

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