気心は未だ若い「老生」の「余話」

このブログは、閑居の間に
「言・観・考・読・聴」した事柄に関する
 雑感を主に綴った呆け防止のための雑記帳です。

故郷の”へしこ”の味

2014-06-18 11:15:52 | 故郷

久し振りに田舎から取り寄せた”へしこ”を昼食時に食べた。このおかずを食べる度に、これが副食のメインだった子供の頃の食卓風景を想い出す。
へしことは、端的に云えば「魚の漬物」である。鯖などを背開きにし、米糠と塩それに若干の調味料を加え、約1年重石をして漬け込んだ発酵食品のことである。へしこの名は、”圧魚”とも書く。若狭地方で重石をして漬け込むことを”へしこむ”というところからその名が付けられたようだが定説はない。元々は、厳しい冬場、漁も出来ない時期の保存食として、どこの家庭でも漬物樽で作られていた。子供の頃は、又「へしこ」なの?とお袋に愚痴る程副食としてよく食べさせられた。当時は、鯖の他に、ふぐ(河豚)、鯵、鰯、いか、たこなどもへしこ漬けにしていた。その中でも”ふぐ”のへしこは絶品で、これが出された時は流石に愚痴は云えぬ位、極上の味だった。
ところで、このへしこなる加工食品は、近年は加工対象の魚種も鯖に限定されているものの、世間のグルメ風潮の中で見直され、いつ頃からか故郷美浜は”へしこ”の町としてもネーミングされるに至っているし、各種の健康雑誌やTV・ラジオでこれ迄何度も紹介されている。今では、Lサイズもので、1本約1800円程もする高級?食品扱いになったが、初めて食した人の殆どは”美味だ”と評し、へしこファンになる人も実に多い。
軽く焼いてお茶づけやおにぎりの具にしたり、焼かずに軽くスライスして酒のつまみにして食するのが一般的な食べ方だ。とにかく、やみ付きになる味だ。故郷のこのへしこの味は、今でも老生にとっては忘れられない”おふくろ”の味でもあることに変わりはない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿