気心は未だ若い「老生」の「余話」

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 雑感を主に綴った呆け防止のための雑記帳です。

第48回総選挙(H29.10.22)結果に関する老生の雑考

2017-10-25 11:25:45 | 時評

1、総選挙公示(10月12日)の直後、当方は呆け防止の意味もあって自分なりに、その結果について大要次のように予想した。

①自民・公明の両党は、議席の過半数は維持するだろう。

②希望の党への関心は上がらず、100議席の確保も無理で、当選率の面では立憲民主党の方が上になるだろう。

③故に立憲民主党は大幅に議席を伸ばすだろう。

④民進党出身候補の3分化に伴い、小党間の連携と対極の選挙の構図(自公に対する希望と維新、立憲・共産・社民)がより鮮明になるだろう。

この予想は、結果的には正しかったと思う。しかし、自民党が単独で過半数を大幅に上回る284議席(改選前と議席数)を確保し、公明党の29議席(改選前34)と併せ、全議席の2/3(310)を越える議席を確保するとはとても予想は出来なかった。

安倍総理による唐突な解散には批判も多かった。しかし、体制不備な野党の現状と推移を先読みして解散に臨んだ安倍総理の情勢判断は基本的には正解だった。この点でも、安倍晋三と云う政治家は、外見に似ず相当強かな政治戦略家でもあることが、今回の総選挙選択でも示されたとも云えるだろう。

2、自民圧勝の背景理由

①これは所謂「そもそも論」になるが、最大の勝因は、所詮は寄せ集め集団で、近年弱体化の一途を辿り続けてきた民進党が大事な時期に3分化し、自民1極の政治態勢が定着していたことである。

②相次ぐ新党の結成により、小党間の連携と競合が進み、国民には解りずらい政治情勢になったこと。この為、無党派層中のかなりの選挙民は、先行き不透明な新党よりも、特段の失政もない安定政権政党に組する道を選択した。

③伸びる筈と当初予想されていた「希望の党」への期待感が日ごとに低減し、同党への期待票が自民と立憲民主党に流れたこと。このことは、小池代表自身とその取巻きが、小池ブームがなお続くと過信し、候補者選定段階で所謂「排除」の論理を適用し、候補者及び国民に誤解と不信感を募らせたからであろう。

④2党の新党の党名から受けるアピール効果の差も大有りだった。メージと理念・政策・訴えの差も歴然としていた。(政策や訴えが概して抽象的で、立ち位置が明確でなかった希望の党と、名は体を表し、訴えも具体的だった枝野代表の言動と立憲の党名は反自民層に好感をもって迎え入れられた)結果として、新党が自民に対抗出来る支持基盤の形成に失敗した。

⑤2党の新党争いで立憲民主党は望外の勝ちを拾ったものの、その分、日本維新の会と共産党にとっては不本意な議席減の結果を齎した。要するに小党競合が、解散前に比しより鮮明に1強多弱の政界構図を生み出すことになった。

3、今後の政治に期待すること

①第二・第三のアベノミックスを有効に起動させて実質経済の向上を推進し、念願のデフレ脱却を図ること。

②消費増税に伴う消費の落ち込み対策を今から段階的に推進し、庶民の不安軽減を図ること。

③今後自民党内では次の総裁論が現実味を帯びて浮上するだろうが、選挙の大勝に奢ることなく、より真摯に国民目線の政治を心がけてほしい。

④政策・理念の違う小党の共存により、議会運営は以前にも増して運営し辛い状況になるだろう。だが、その鍵を握る新党特に野党第一党の立憲民主党が、健全なリベラル新党として国会運営にあたるよう特に期待したい。

⑤野党内では、程なく旧民進党議員を中心とする新たな離合集散・野党内再編成の動きも必ず生起することになろう。既に再編の動きを期待している議員諸氏には、ぶれない信念・信条の政治家として、己中心ではなく国民のための政治家であることを再認識して活動願いたい。

⑥最後に、今回の選挙で憲法改正が政治課題の一つとして取上げられた。これは大きな前進であり、憲法改正は避けて通れない国家的課題でもある。このことについて本題から若干それるが以下当方の意見を付記する。

・我が国では、憲法学者の約7割が、自衛隊違憲説を主張している。しかし、不思議なことに自衛隊不要論はどこからも聞こえて来ない。

・今日、憲法解釈上は戦力でない筈の自衛隊が、世界有数の軍事力を保持し、実質軍隊であることは世界が認めている常識である。

・この常識は、我が国では憲法解釈上歪められたままではないか。このことは、自衛隊の現状を見て考えれば、誰でも解る事実だ。

・ならば、憲法改正反対を持論とする政党は、その現実を直視し、選挙公約に自衛隊改組策を堂々と掲げるべきだ。しかし、そんな公約は国民受けせず、現実的でないが故に避け続けて来ている。逆説的に言えば、9条改正反対の諸党は、結果として違憲の自衛隊の存在を黙認していることになる。こんな矛盾は永久に許されるべきことではない。

・9条に限らず、現行憲法の前文~第11章補則の第百三条迄をその意味を考察しながら読めば読む程、有名無実化している条文も少なくないことは一読すれば明らかだ。

・憲法の前文を含む全文を具に読まず、その内容をよく確認もせず、憲法改正反対を声高に叫ぶ人は、人の意見を横取りして語る単なる代弁者ではないだろうか。この国を愛する国民にとってそんなお人は、憲法を語る資格はないだろう

・今次総選挙の大きな成果の一つは、憲法改正問題が主要な関心事項として提起され、この問題が今後院内外で具体的に議論される政治環境が形成されたことであることを付記して雑考の終わりとする。(H29.10.24)

 


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