行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

ラストストロー

2013年12月03日 | 禅の心
ラストストローとは、ついにたえきれなくなる負担のことです。ラクダに重荷を背負わせます。さまざまな荷物を、もうこれ以上積めないぎりぎりまで積むのです。そして、その上にわら一本を載せます。そうするとラクダは完全に参って倒れてしまう。その一本のわらが最後のわらです。だから、その最後の一本のわらが、「ついに耐えきれなくなる負担」になるのです。ラクダは、一本のわらによって倒れてしまったのではありません。たくさんの荷物によって倒れたのです。でも、私たちは、最後の一本のわらによって倒れ込んだものと、錯覚してしまうのです。
たとえば、ガンで死ぬというのは、ガン細胞に侵されて死ぬのではありません。ガン細胞に侵されるまでに、過労、睡眠不足、ストレスなど、体が弱ってしまう原因があったのです。
 子供がぐれて不良になってしまったり、引きこもりになってしまうのは、親が悪いとか、環境が悪いとか、何か特定の原因があるのではありません。いろいろな要素が積み重なって、ぐれたり、引きこもりになってしまうのです。
 何か(ラストストロー)にとらわれてしまうと、物事の本質がわからなくなってしまいます。
 釈尊は、物事には原因(ラストストロー)があって結果があるだけではない、縁(重い荷物)というものがあって結果が生まれるのだと考えました。縁をよくみて考えようというのが仏の道というものなのです。

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