行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

もので栄えて心で滅ぶ

2012年08月14日 | 禅の心
奈良、薬師寺の管長だった、高田好胤先生が、「物で栄えて 心で滅ぶ」とおっしゃっていました。

この15年間くらいの間、日本を覆ってきた思想はまさに、「物で栄えて心で滅ぶ」典型でした。

「お金儲けは汚いですか」「勝ち組、負け組」という嫌な言葉もでてきました。

そして、気がついてみると、人々の心は荒廃していました。

私は、ある程度の競争は必要だと思います。

しかし、行き過ぎはよくありません。

この15年くらい前から一般家庭にもインターネットが普及しはじめ、

誰でも携帯電話を持つ時代になりました。

確かに、物では栄えてきました。

パソコンや、携帯電話が全て悪いわけでは無いのですが、

これまでなかった、陰湿ないじめなど、人間の精神の荒廃が目立ってきたのは確かです。

高田好胤先生は、ずっと前から現代人の心の荒廃を予言されていたのかもしれません。



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怒りの連鎖を切ろう

2012年08月10日 | 禅の心
荒々しい言葉を語りて、愚かなる者は勝てりと思ふ。されどまことの勝利はよく堪忍を知る人のものなり。
いかるものにいかりかえすは さらにあしきこととしらねばならぬ いかれるものに いかりかえさずして 人は二つの勝利をうるのである。
他の怒かれるを知りて 正念に己を鎮むるものは 己のため、また他のために利益を行ずるなり。




 阿含経の言葉です。喧嘩をすることは、自分にとってもあいてにとっても、利益をもたらすものではありません。暴力の喧嘩でも口げんかでも、喧嘩をすることはすでに負けなのです。喧嘩が強いなどということは、何の自慢にもなりません。相手が怒って怒鳴ってきても、にこにこして余裕を見せている人が本当に強い人なのです。
 どの企業でもクレーマー対策に頭を痛めているといいます。怒っている人に怒り返さないことが最高のクレーマー対策なのです。


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花にあらずといふことなし

2012年08月07日 | 道元・正法眼蔵・曹洞宗
見る処(ところ)花にあらずといふ事なし、おもふ所月にあらずといふ事なし


松尾芭蕉の句です。

 登山を始めたばかりの頃は、富士山に登ってみたい、北アルプスを歩いてみたい、有名な山にどんどん登ってみたいと思ったものです。しかし、山歩きの楽しさがわかると、低い山でも、地元の里山でも、それなりの楽しさがあることがわかってきました。富士山だけが山ではない。有名な山だけが山ではない。富士山でも、近所の低山でも同じ山ではないかとみることができるのが、芭蕉のいう「花にあらずといふことなし」ということなのかな。と思います。
 悟りとは、「差取り」すなはち、自分の主観によって価値をつけないこと。富士山でも北アルプスでも、家の裏山でも、同じように真実の声が聞こえてくることが悟りなのです。
 花でもそうです。立派なボタンの花でも、桜の花でも、野に咲く小さな花でもみんな一緒だと思えることが、日本人の心の、侘びとか寂というものなのです。



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自己を見つめることから

2012年08月03日 | 禅の心
いじめについて、毎日様々な意見が飛び交っています。いじめが人ごとだと皆が思っているいるうちは、決していじめはなくなりません。いじめの加害者は自分が加害者であるという意識がないからです。自分自身は、本当に人権侵害をしていないのか、いじめをしていないのかということをよく点検してみる必要があります。
 禅のテーマは自己を見つめること。法然上人、親鸞聖人の「悪人正機」は、「自分の中の悪を自覚しなさい」ということです。
 自分は人権侵害をしていない。自分は善人だと信じきっている人が一番危ないのです。自分の中の悪を点検することが、幸せへの近道なのです。

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