行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

自由について(一)

2017年02月10日 | 仏の心
中川宋淵老師の言葉から

 性か。フリーセックス?

それで本当に楽しければよい。

が、私にはそうは思えんな。

今日の性は濁っているだけだ。

人間にとって欲は大事な力だ。

食欲はものを食べる力。

性欲は子どもを産む力。

大切です。

けれども欲にとらわれてはいけない。

 性の自由を叫ぶことは、セックスにとらわれとるんじゃね。

性欲は他の様々な人間の欲、

力の一つの部分にすぎん。

チンポコを頭に乗せるようなことばかりしてたらいかん。

チンポコはあるべきところにあって使われればよいのだ。

フリーセックスにとらわれることは、

本当の性の喜びを得ていないことになる。

ガツガツものを食べても物の味は味わえない。

正しい正常な男女の交わりとは、道徳的なものではなく、

美であり、生命のほとばしりなのである。

 性の自由、性の自由というが、まあやらしてごらんなさいよ。

私の友人が学生時代に、

親に縛られて不自由だ不自由だと言うとった。

大人になったらやれるだけのことをしてやるぞ、

もう縛られんぞ!

と言ってね。

ところがその大人になったら、何をしていいかわからん。

一時間でへとへとになってしもうたわ。

何が自由かね。

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地獄・極楽とは(二)

2017年02月07日 | 仏の心
松原泰道師の言葉から

 若侍は、白隠の声を聞いて目からうろこが落ちた思いをします。

つまり怒りが爆発したとき、そこには「痴」の修羅が生じました。

しかし、まもなく正しい判断に気づいて、その修羅場を越えることができたのです。

教える白隠も命がけです。

真剣でなければ教えることはできません。

 修羅の世界は私たちの外からばかりやってくるものではありません。

誹謗されたり、罵声をあびせられたり、讒言されたり、

あるいは事業に行き詰まったり、左遷されたりなどといった外的要因だけでなく、

嫉妬や妄想、欲望、煩悩など、内なる悪魔が跳梁することによってももたらされます。

 修羅場が訪れたのは白隠禅師にしても同じです。

 まかり間違えば命を落とすわけですから、

そのときは外からきた修羅場であったわけです。

同時に、なんとしても教えてやらねばなるまい、

という内なる修羅場もあったことと思います。

 教えることに真剣なあまり、

感情に激して暴力をふるう先生がありますが、

それも「痴」の修羅といえます。

そこには人間存在の真理が見えていません。

暴力をふるうことは、すでにして相手を個として尊重していないのです。

 一度でもそうすると、その子は生涯その学科を嫌ったり、

教師を恨み続けたりしてしまうのです。

 人を教える立場にいる人は、そういった修羅を与えてしまってよいものかどうか、

よくよく考えて、正しい判断を立ててもらいたいものです。

 「怒っているときは叱るな、叱るときは怒るな。」

といいます。

怒るのは修羅で、叱るのは慈悲です。

修羅で怒っては効果がないのです。



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地獄・極楽とは(一)

2017年02月03日 | 仏の心
松原泰道師の言葉から。

 あるとき、一人の若い侍が「地獄があるのか。極楽もあるのか。」

と、白隠禅師に尋ねました。

 禅師はそれには答えずに、逆に質問を投げかけます。

「おまえさんはだれだ。何だ」

「侍だ」

「その侍が地獄がわからんとは、おまえさんたいした人物じゃなかろう」

そういって禅師は、さんざんに彼を罵倒したのです。

この若者は、腹を立てながらも、ここは辛抱だと思ってじっとがまんして聞いています。

だが、禅師はますますいいつのり、罵詈讒謗するのです。

ついにたまりかねた若侍は、おのれとばかりに刀を抜き、斬りかかりました。

 白隠禅師はとびのいて、本堂の中をあちこちと逃げ回ります。

若侍は追いかけるものの、家の中だから思うように刀は振り回せない。

しかし、とうとう追い詰めて、一刀両断とばかりに切り落とそうとする。

 そのとき裂帛の一声が降ってきたのです。

「そこが地獄だ!」

ハッとばかり、侍はひるみました。

なるほど、天下の名僧を殺せばどうなるか。主君に迷惑をかける。自分は切腹だ。

家は断絶するかもしれぬ。

なるほど、今の怒りが地獄だったのか。

そう気づくと、刀を置き、居住まいを正して、

「わかりました。」

するとそのとたん、

「そこが極楽だ」

と白隠はほほえみながらいいます。

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