MOONLIT STORY ~月夜の物語~

月明かりに照らされた惑星地球をテーマに星空の写真を撮り続けています。

グレイ氷河

2009-04-01 23:53:07 | パタゴニア
ホテルパイネグランデから、グレイ氷河の間近にあるグレイキャンプ場を目指した。

今日も最初は日が差していたものの、山懐に入り込むと曇り空となり、やがてシトシトと降り出した。

途中何度もカップルのハイカーと抜きつ抜かれつを繰り返しているうちに、お互いおかしくなり仲良しとなった。

男性はスペイン人で、女性はカナダ人だった。
男性の方は去年もパイネ1周をほぼ同じ時期にしたそうだが、毎日天気が良くて、一度も雨具を使わなかったそうだ。

パイネの天気はこんなもんだと思い込んでいた自分は、ちょっとショック。女性の方も毎日降る雨に「バッドラック!」を連呼していた。
2006年は天気が良くて、2007年はほとんど晴れなかったとネットで見かけたことがあるから、近年は1年毎に波があるようだ。



1時間半ほど登りきったところで、巨大なグレイ氷河が目の前に現れた。

【グレイ氷河遠望】


写真は天気が良かった復路の時のもの。

この氷河が見えた時は、氷河の手前にあるキャンプ場までもうすぐだと思った。
ところが、休みなしに歩いたのにここから2時間もかかってしまった。
相手がでかすぎる故に、またしても距離感がくるっていたのだ。なにせこの氷河の幅は6.5kmもあるのだから。



【グレイキャンプ場】


たくさんのハイカーで賑わうグレイ湖畔のグレイキャンプ場。
ここからグレイ氷河の見える展望地まで10分ほど歩く。

2泊して毎晩写真を狙ったが、晴れたと思ったらすぐに雨が降りだしたりの連続で、結局たいした写真は撮れなかった。



【氷の芸術】


キャンプ場の前の小さな入り江にミニ氷山がいくつも打ち寄せられていた。
いろんな形をしていておもしろい。



【氷山と観光船】


まるでおもちゃみたい。
船の屋上に観光客が群がっているのがわかるかな?



【グレイ氷河近望】


氷河の末端の高さは40~50mほどある。 【グレイ氷河遠望】の右端の部分にあたる。
写真左下の黒い粒は、先ほどの観光船なり。



【天国の散歩道】


復路は天気に恵まれ、旅の最後を締めくくるには最高のシチュエーション。

ミルキーブルーのペオエ湖を目の前に、赤い花咲く登山道を歩く。振り返ればパイネの神々の座がそびえている。
もう、現実の世界とは思えない。天国を歩いているかのようだ。



【フランセス谷を望む】


ホテルパイネグランデに帰ってきた。
往路の時は見えなかった山々の風景がまぶしい。

これまで辛かったトレッキングも、これで最後かと思うとやはりさびしい。



【ランチセット】


そして、もはや恒例となっている下山後のレストランランチ。
フェリーの時間まで5時間もあったため、飲みながらゆっくりと味わえたのだが・・・

まずはスープ。
なんと例のとてもまずいクノールのインスタントスープ。
オレンジ風のジュースは無果汁の砂糖水。
サラダはレタスにハーブが散らしているだけで味付けなし。
デザートは桃の缶詰。
そして極めつけはメインのマッシュドポテトにシーチキンとコーンのデカ盛。
味は悪くなかったけど、なんと大ざっぱな・・・



【パタゴニアの地ビール♪】


なんと4種類の地ビールがあり、そのうち2種類を飲んだ。
左はグアナコラベルのエールビール、右はパイネラベルのラガービール。

どちらも最高にうまかった♪

絶景トーレス!

2009-03-31 23:46:10 | パタゴニア
山に入る前は日が射すこともあったが、その後は1日中雨模様だった。
テントで休みながら3時間ごとに外をチェックするが、夜になっても相変わらずの雨。

12時過ぎに再び目を覚ますと、雨がやんでいた。
小用がてらキャンプ場のある林から外へ出たら、なんと星が出ている。
薄雲がかかっているものの、これはチャンスと急いで支度をして、展望地へガレ沢を登った。
フル装備でないとはいえ、ザックは20kg近くある。コースタイム1時間の登りだが、疲れが残っており、1時間20分もかかってしまった。
そうこうしているうちに、曇ってしまい、月も見えなくなってしまった。
ガスはかかっておらず、目を凝らすとかすかにトーレスが見える。
3日目にして初めて全容を現したというのに・・・

ひたすら晴れるのを待っていたところ、ひとり登ってきた。
そのあとも3人組と2人組が登ってきて、総勢7名で朝を待った。
空が明るくなり始めた頃、雲が低く垂れこみだし、トーレスの先っぽに達してきた。
これは雨が降りだすと思い、機材を片付け始めたら、案の定ポツリポツリと降り出した。

下からは朝焼けのトーレスを見ようと続々と人が登ってきたが、それに逆らうように下山した。
雨は強くなる一方で、もはやトーレスの上半分は雲の中。
明日には下山しなくてはならない。このままトーレスを見ることはできないのだろうか・・・
このときはほとんどあきらめ加減だった。


テントに戻ってから雨が止むのを願って定期的に空をチェックしていたが、夜になってもずっと降り続いていた。ただ、弱まっていたので、1時間半置きに空をチェック。

これが最後のチャンスと3時頃起きたら、雨が止んでいた。
しかも雲が切れそうな気配。
普通、こんな天気で夜に登るなんて考えられないが、後悔だけはしたくなかったので登ってみることにした。

支度して林から出ると、なんと雲の切れ目から星が見えているではないか!
がぜんやる気が出て、1時間の道のりを50分で登ってしまった。

そして、カメラを立て終わるころには、空の半分が晴れてきた。
トーレスも完璧に見えている。
昨夜と違って、直前まで絶望的な天気だったので、誰ひとりとして登って来ない。
フィッツロイの感動再びか!と興奮していたが・・・
肝心のトーレス上空が晴れない。

ようやく星がチラホラ見え始めたと思ったら、なんとトーレスにガスがかかり始めた。
そして星空が広がるころには半分以上ガスの中に・・・

やがて夜が明け始め、タイムアップ。
今度は上空に雲が広がり始めるのと入れ替わるようにトーレスのガスが晴れた。
なんと皮肉な結末だ。
でも、薄明に浮かび上がるトーレスの神秘的な姿にしばし酔いしれた。

それではお待たせしました。傑作は一般公開しないとしてきましたが、中判フィルムで撮った迫力のトーレスをどうぞ。



【トーレス・デル・パイネ】


この写真に勝るとも劣らない、朝日に染まったトーレスの写真があるんだよね実は。



感動のトーレスの余韻に浸りながら、テントを片付け、もと来た登山道を降りた。
今度もまたよく歩いたご褒美に、レストランで食事をした。
車に乗るためアルコールなしが残念だったが、ラムチョップの贅沢なランチは最高だった。




アマルガ湖畔へ移動し、そこで車中泊。
わりと晴れたものの、やっぱりパイネの上空から雲が無くなることはなく、ろくに星景写真は撮れずじまい。
でも、夜明けの光景は素晴らしく、パイネに完全な形の虹がかかった。
それは今まで見たことのないほど大きく、広角でも入りきらなかった。

【アマルガ湖畔の虹】




このあと、最後のトレッキングをするため、レンタカーでペオエ湖畔へ向った。
途中のパイネの景色はとにかくすごい!

【クエルノス・デル・パイネ(パイネの角)】




最後はボートに乗ってペオエ湖を渡ると、トレッキングの出発地点となるホテルパイネグランデ前へ到着する。

【ボートの中の様子】


【ホテル パイネグランデ】

トーレスへの道

2009-03-30 18:01:39 | パタゴニア
パイネ国立公園でもっとも人気を集めているのが「トーレス・デル・パイネ」だ。
フィッツロイが東の横綱なら、トーレスは西の横綱といったところだ。
トーレとは塔という意味で、高さ1000m前後の岩峰が3本並んでいるため、通称「3本塔」と言われている。

トーレスへは、まず公園管理事務所からの分岐点を右へ曲がってホテルラストーレスまで車で向かう。するとすぐに木造の橋を渡る。



車で渡っても大丈夫なのか?と思わず突っ込みたくなるような橋。

見ての通り1台ずつしか通れないので、対向車はもちろん、ハイカーも通過待ち状態になる。
ツアーの大型バンのときは両サイドこすれんばかりのため、通過に10分以上待たされることもある。

渡った後は穴凹だらけのひどい道で、20kmぐらいしかスピードを出せなかった。



【ホテルラストーレス】


もっとも多くの観光客が滞在するポイントだけあって、こんな辺境の地でも設備の整ったホテルとレストランが建っている。隣接したキャンプ場もとても設備が整っている。

ここに車を停めて、トーレスキャンプ場を目指す。



【アセンシオ谷】


まず一気に300mほど登った後は、アセンシオ谷の斜面沿いのゆるい下り坂をチレノ小屋まで降りて行く。



【チレノ小屋】


橋を渡ったところにチレノ小屋とチレノキャンプ場があり、多くの人でにぎわっていた。
小屋の中は人でごった返していたため、外のテーブルで冷たい雨に打たれながらの昼食だった。



【山賊現る!】


ジャックスパロウのような人相にベレー帽を被り、皮ジャンに膨らんだズボンと革のブーツ。腰には長剣が差してある。
この馬を引き連れた連中が、突如山小屋の対岸に2隊現われた。

最初の隊が川沿いの崩れた登山道を通過するときに、最後尾の馬がなんと川に落ちてしまった。
前の馬とロープで繋がっているため、首吊り状態で苦しそうにバタバタともがいている。その一部始終を見ていた観光客にどよめきと緊張感が走った。

するとすかさず後隊の山賊風の男が馬から飛び降り、スラリと長剣を抜いたと思ったらロープに振りおろしてスパッと切り離した。

自由になった馬はスタスタと川を歩いて渡って山小屋に辿り着いた。
その様子を見ていた後隊は、川が渡れる深さと判断し、無理して崩れた道を通らずに馬を引き連れて渡っているところを撮ったのが上の写真である。

彼らは山小屋へ物資を補給するためにやってきたのであった。
強風でヘリコプターが使えないパタゴニアならではの光景であろう。



【トーレスキャンプ場】


チレノ小屋からさらに1時間余り登るとトーレスキャンプ場に着く。
標高差は大してないのだけど、アップダウンが多くてかなり疲れた。

キャンプ場には、人工だろうか?川が流れており、水には困らない。
ここからトーレスの好展望地へは、ガレ沢を1時間ほど登る。
2泊の予定で、晴れるのを待つ。


【トーレスくん(勝手に命名)】


管理棟で迎えてくれたのは、キャンプ場のマスコット「トーレスくん」。
一応管理人が居るようだけど、無料なので受付とかはなかった。


【ベリーグッドII】


キャンプ場入口の沢を下ると、ブルーベリーやクランベリーなどがたわわに実っていた。
もし食料が尽きても飢えることはなさそうだ。


パイネ国立公園

2009-03-27 21:56:37 | パタゴニア
国境を無事に越え、南米ふたつ目の国、チリへ。
国境を越えてすぐのところに、とても雰囲気のあるお土産屋さんが2軒とガソリンスタンドがあった。


【国境のカフェテリア】


看板にはカフェテリアと書いてあるが、どっちかというとお土産がメイン。
50km四方に何もないので、コーヒーが飲めて軽食が取れるだけでもとても貴重な場所。



【パイネをバックに】


突然、目の前にパイネの山々が出現した。
それまでもすごい形をした山が見えていたのだが、それらとは存在感がまるで違う。
そして、ほどなくグアナコの群れに遭遇。
アルゼンチンでは一度見かけただけだが、ここにはうじゃうじゃいる。


【ん!?呼んだ?】




【アミーゴ フラミンゴ】


しょっぱそうな湖にはかなりの確率でフラミンゴがいたりする。
警戒心が強くて近寄れない。



【国立公園管理棟】


最後のメインディッシュ「パイネ国立公園」の入口に着いた。
ここで簡単な入園カードの記入と入園料15,000チリペソ(3,000円くらい)の支払いをする。



【サルトグランデ】


サルトは滝、グランデはグランド。すなはち「大滝」という意味。
高さは低いが、水量が多いため、かなりの迫力。上まで水煙が飛んでくる。



パイネは、フィッツロイとはまた違った雰囲気を持っている。山域の大きさはフィッツロイの比ではなく、ハイカーの数もはるかに多い。
それでは、パイネの全景を迫力の大パノラマでどうぞ。


【パイネ山群】
http://www6.ocn.ne.jp/~moonlit/PaineGrande.jpg

※向って左側の山塊は最高峰のパイネグランデ(3,050m)、右側の岩峰群は椎名誠が「地球の角」と称したクエルノスデルパイネ

チリを目指して500km

2009-03-23 23:38:14 | パタゴニア
エルチャルテンを朝に出発し、チリにあるもうひとつの目玉「パイネ国立公園」を目指した。500kmを超えるロングドライブだ。
チリ側は未舗装道路。無事国境を越え、今日中にたどり着くことができるだろうか?





スタートしていきなりワシに遭遇。





川の流れもこんな色。





100km四方何もない平原で、ニャンドゥーを撮ろうと道端に車を止めたら、パトカーに職質された。





ニャンドゥーとは、体高1.5m位のダチョウのような飛べない鳥のこと。

パトカーがクラクションで追っ払ったため、逃げ惑っている。おそらく道路沿いに張り巡らされている柵を越えた動物が、車に轢かれるのを防ぐためだろう。





ドライブインでの昼食は、恐ろしくでかい羊肉のハンバーガー。
ミンチではなく、細切れの薄切り肉を固めた感じ。
店員が、ケチャップとマスタードとマヨネーズを出してくれた。





広大な草原に、時折り羊の群れを見かける。
いったいどこからが牧場で、どこまでが牧場なのか・・・





真っ白な塩湖を発見。水深はせいぜい数十センチくらいだろうか。
水面の黒い点々は水鳥である。





チリへ入国するためにルート40を外れると、道はダートとなる。

この道を8km行くと、アルゼンチンの入出国管理所があるのだが、なんと欧米人がひきりなしに出入りするのに、英語がまるで通じない。
旅行者に英語で通訳してもらうものの、難しい単語が多くて難儀した。





出国したあと、さらに数km行くと、写真にあるチリの入出国管理所に辿り着く。
アルゼンチン同様、入国も出国も同じひとつの窓口で手続きをするのだが、団体バスツアー客とかち合ってしまい、20人ほどの順番待ちとなった。

チリの方は英語が比較的通じたので手続きは手こずらなかったが、手荷物にフルーツはないかと尋ねられたため、リンゴを持っていると申告してトランクを開けて見せたところ、リンゴはもとよりミックスナッツも没収された。
ミックスナッツに入っているレーズンが持ち込み禁止物にあたるのだそうだ。
でも、バナナチップスとあんずのドライフルーツはOKだった。

虹のトレッキング

2009-03-16 22:15:06 | パタゴニア
感動の朝を迎え、徹夜明けみたいなものだが、あと1泊分しか食料がないので、最終目的地のブリッドウエルキャンプ場へ向かうことにした。

夜明けとともに天気が悪化し、風がどんどん強さを増してきた。ポインセノットキャンプ場に戻る途中に雨も降り始めた。
朝食を済ませ、テント内は片付けたが、その頃には風が今までの最強に達していた。

パタゴニアの風に負けないよう、スカンジウム合金の強化フレームを採用したテントを用意していたのだが・・・ テントが半分ひしゃげた。

こんな風の中、果たしてテントを畳めるのだろうか?
びびってなかなか外に出れない。

1時間余り待機していたが、少しだけ風が弱まってきたので、意を決して外に出た。
そして何とかテントを畳むことに成功。
ブリッドウエルキャンプ場へと向かった。
幸いなことに追い風気味だったので、歩くのに大きな支障はない。

雨が降っているものの視界が良く、景色を楽しみながらのトレッキングだ。
昨夜の余韻があったのかもしれないが、雨の日のトレッキングがこんなに楽しいのは初めてかもしれない。
そう思いながらあるいていたら、何と目の前に!



【レインボー】


パタゴニアで出会った初の虹に、さらに気分が高まる。
しかもこの虹、ずっと後をついてくる。

 「パタゴニアを虹と共に歩く」

雨の日に、こんな素敵な体験が待っているなんて・・・
(実はこのあとさらに、アンビリバボーなミラクルレインボーが・・・)



【ブリッドウエルキャンプ場】


3時間半ほどでトーレ湖近くのキャンプ場へ着いた。
ここからすぐ近くのモレーンに登ると、セロトーレの展望地がある。
セロトーレは、フィッツロイには及ばないものの、高さ1500mもの岩峰だ。
(フィッツロイは独立した部分は1000mぐらいだが、基底からは約2000mの高さがある。)

しかも、足もとに迫力のあるトーレ氷河を抱き、その美しい姿をトーレ湖に映し出すが故に、フィッツロイと並んでこの地域の2大スポットとなっている。


【トーレ氷河とトーレ湖】


残念ながら、セロトーレの姿は全く見えず。
トーレ湖を堰き止めている巨大なモレーンの上をぐるりと歩いたが、このときトーレ湖からとてつもない風が吹き出していた。
最大で30mぐらいあったろうか、体が吹っ飛ばされそうだった。
大した雨じゃないのに、雨粒が顔に当たって痛いほど。


【チャルテン方面を望む】


モレーンの上からチャルテン方面を望む。
足元には、蛇のようにうねるモレーンが幾筋も見える。


【セロトーレを振り返って】


翌日、相変わらず振り続ける雨の中、ブリッドウエルキャンプ場をあとにして、チャルテンへ戻った。
その途中の展望地よりセロトーレを振り返った。
最奥部にセロトーレがそびえているはずだが、まったく見えず。


チャルテンに着くと安ホテルを探したが、満杯だったため、また同じドミトリーへ泊まった。
そこもあやうく満杯になるところだった。


【RESTAURANTE AHONIKENK】


5日ぶりのシャバ、そしてフィッツロイの雄姿を拝めたことのお祝いにレストランでちょっと贅沢を。
店内にはフィッツロイの大きな絵が掲げてある。


【赤ワインと・・・】


パタゴニア名物の羊肉が食べたかったのだが、みあたらなかったので、チョリソー以外何が入ってるかよくわからない料理をオーダーしたところ・・・
あらら、レンズ豆のシチューでした。

素直にビーフステーキにすれば良かったと後悔しつつ、可愛いペンギン型のデキャンタに入った赤ワインをゴクゴク。
次なるパスタに期待。


【ベジタブルパスタ】


見た目に「おぉー!」と感動したのもつかの間、中身はほとんどホウレンソウだけで、すぐに飽きてしまう。シチューで既におなかいっぱいだっただけに、2本目からがすごく辛かった。


【まじ!?】


レストランの一角で、あるグループがトランプを始めた。
そんなのあり?この国では普通のこと?

蒼天のフィッツロイ

2009-03-12 21:08:49 | パタゴニア
テントを張った後、倒れるように横になった。
夕方に目を覚まして空を見上げると、快晴に近い空だ。今夜は眠れそうもない。夜が待ち遠しい。

でも、この時期はなかなか日が沈まない。しかも、高緯度ゆえ太陽の沈む角度が浅いため、薄明の時間が1時間半もある。
とりあえず日が暮れるまでディナータイムだ。

ご飯を炊くときは、沸騰して蓋が外れないようにスープ用の水を入れた子鍋を乗せる。
余熱で暖まるため、燃料の節約にもなり、一石二鳥。



意外なことにスーパーにはインスタントラーメンが売っていなかったが、クノールの炊くだけのピラフはとても手軽でよかった。
でも、味はとてもひどい。インスタントスープもすごくまずい。
日本でも無洗米で同じような商品だしてくれないかなぁ・・・



待望の夜が来た。23時前だが、まだ薄明るい。
キャンプ場の辺りでは手前の山が邪魔なので、来た道を2kmほど戻ってカメラを構える。
空は雲が増えて、半分ぐらいを占めている。東の空には月が昇っている。
フィッツロイの上半分は雲の中なので、ひたすら待つ。
ところが雲は増える一方、そしてついに雨がパラツキ始めた。

みるからにヤバい雲が迫ってきたので、あえなく撤収。
そんなにあまくなかった。

テントに戻ると、雨風が強くなってきた。
半端じゃない。
まるでジェット機がかすめているように、風がうなりをあげて通り過ぎていく。
林の中なのに、その度にテントが激しく揺れる。
これがパタゴニアの真の姿か!

朝になっても吹き荒れていたが、11時すぎには風が弱まり晴れ渡ってきた。
今度こそは!と期待したが、フィッツロイは全容を見せることなく、再び雨が降り始めた。
風が次第に強くなり、またもジェット機のスクランブルだ。

一晩中荒れ狂い、気温も下がる。
朝のテント内の気温は4℃。外は2℃ぐらいだろうか。
8時頃雨が止んだので、外に出て見た。
風はまだ強く、今にも枝が折れてきそうで怖い。山はテントサイトの近くまで真白だった。

もちろんフィッツロイも雲の中だったが、急速に雲が引いて行く。
「こいつは絶対晴れる!!」
なぜか確信し、カメラを持って2日前敗退した地点へ。

そして、ついにその時はきた。




















【蒼天のフィッツロイ】


  君に逢いに 2万キロを旅してきました。





【独り占め】


夜が遅いため、誰も朝に起きてこない。
フィッツロイを独り占め。



昼間のフィッツロイは、もう思い残すことはない。
でも、目的はあくまでも星景写真。
このあと、またしても雲がわき、雨がパラツキ始めた。
なんてめまぐるしい天気だ。


仮眠をとり、日暮れ前に目を覚ますと、また晴れ間が出てきた。
みたび撮影ポイントへ。

1時間ほどすると、フィッツロイが月の光に浮かび上がってきた。
常に雲が生き物のようにまとわりつき、最後までどんなに長くても3分と姿を現すことはなかったが、星空の下のフィッツロイを写し撮ることに成功した。

やったー!!ついにやったぞーーーーー!!!


そのまま夜明け近くまで晴れ続け、感動の朝を迎えた。


























【おまけ】


Happy TAKE Dancing on Planet Earth!

フィッツロイ

2009-03-09 22:05:26 | パタゴニア
【ジャジャ~ン】

出ました~!かっこいいー!!
これが、あの一番高い岩峰が、フィッツロイでーす!!

手前の山域もかなりの迫力ですが、フィッツロイ一帯がありえないほどすごい形をしている上に花崗岩でできて白っぽいこともあり、なんだかはめ込み合成をみてるようで現実感がなかった。


【聖なる山のもとへ】

なんて美しい山なんだろう。
これを眺めながらすすむのと、そうでないのとはすごい違いだと思う。


【湿原】

しばらく展望のない林間を通り抜けたあとは、見晴らしのいい場所に出た。
一帯は尾瀬ケ原がすっぽり入るくらいの湿原になっており、平坦で歩きやすい。


【ベリーグッド!?】

赤いベリーの一種のようだが、湿原の周辺にたくさん実っていた。
皮は少し渋いが、甘酸っぱい。


【浅き河も深く渡れ】

丸太橋には「ソロ オンリー」の注意書きがあった。
日帰りのハイカーも多く、とても軽装だ。


【キャンプサイト】

看板には、ロスグレシアス国立公園ポインセノットキャンプ場とある。
強風を避けるため、林間にある。


【ドリームキャッチャー】

今まさに夢の中にあり、それがいい夢でありますようにと思いを込めてテントの中に吊るした。


【キャンプ場より見上げる】

近すぎて見すぎると首が痛くなる。
なにせ山頂は、ここから2700m近くも上にある。

既にお気づきかもしれないが、実はフィッツロイの全景が写っている写真がない。
これだけ晴れているのに常に雲をまとっている。なんてヘビースモーカーだ。




果たしてフィッツロイは全容を現したのか?
それはいずれ近いうちに明らかになるであろう。。。

ファーストコンタクト

2009-03-08 02:03:44 | パタゴニア
ここからはいよいよザックを背負って山へ入る。
しかし、移動の疲れに氷河の夜間撮影で体がかなり重たい。
ちゃんと歩けるか不安・・・

【フィッツロイ登山口】

目指すキャンプ場へは、正面の丸い岩山の裾野を右から回り込んで、裏側の台地の上へ登る。


【相棒】

旅の前のテストで荷物が多すぎてザックに入りきらないことが判明していたので、1リットルの水筒を2つ用意し、水は外に出すことによってなんとか解決した。
苦肉の策だったが、ザックを下ろさなくても給水できるのがうれしい。


【ピーターラビット】

とても美しい風景の中を行く。
トレックに沿って花が咲き、うさぎの姿も。
のっけから少々きつい登りが続くが、気持ちがなごむ。


【エルチャルテン展望】

写真に写っているのがすべての小さな村。目立つ建物はすべてホテル。
「エルチャルテン」とは、「煙を吐く山」という意味。これは、強風でいつも頂に雲がたなびいているフィッツロイのことを指している。





【ファーストコンタクト】

登り始めは曇っていたが、徐々に晴れ始めた。
もしかしたら今日こそは見えるかも・・・そんな期待を胸に登りながら不意に顔を上げたまさにその時、なんとフィッツロイが顔を覗かせているではないか!
感動のあまり声が裏返りながら思わず叫んだ。

「あははっ!フィッツロイだ!!煙吐いてるよ!」


【霊峰のオーラ】

標高差340mの坂を登り終えたところで、木々の隙間からただならぬオーラを感じる。
あの林の向こうにフィッツロイが鎮座しているに違いない。
いちばん疲れが来ている時だが、自然と足が加速する。





次回は夢にまで見たフィッツロイとのご対面です。
To be continue...

フィッツロイの玄関口「エルチャルテン」へ

2009-03-04 00:05:46 | パタゴニア
ペリトモレノ氷河からレンタカーで約300km疾走し、フィッツロイとセロトーレへの登山基地として栄えるエルチャルテンへ。

【パタゴニアの盟主の気配】

超ど級の風景が目白押しのパタゴニアの中でも、最もこの目で見たかったのが「フィッツロイ」。
エルチャルテンの手前で、周囲の風景に比べてもひと際存在感があったこの山にフィッツロイがあるに違いないと直感した。
実際、その感は当たっていたのだが、下からはその姿を見ることは最後までなかった。


【エルチャルテンの入口】

人口1000人もいるだろうか。
この小さな村まで舗装路が延びたのはほんの去年のこと。


【発展する街並み】

ここ数年急速に発展しているようで、真新しいホテルやお土産屋、レストランが立ち並ぶ。
物価は高いが、登山基地だけあってアウトドアショップが数軒あり、大抵のものは揃う。テントや寝袋など、レンタルで済ませる人が結構多い。

なんとインターネットカフェ(といってもパソコンのみ)が4軒もあり、1軒は営業していなかったが、どの店も満席状態。いうなれば九州ぐらいの広大なエリアに村がポツンとひとつあるイメージだが、それでもブロードバンドのインターネットができるところがすごい。
とはいえ、おそらく1つの回線を分け合っているのだろう、動作は不安定で、すんなり繋がることは稀だった。料金は1時間10~12ペソ。
なお、ワインに酔っ払ってブログを書いたのはここである。


【ホテル「Pioneros del Valle」】

パタゴニアで唯一泊まったホテル。といっても、ドミトリー(相部屋)だ。
できたばかりのようだったが、ホテル「フィッツロイ」と同じ敷地内にあり、デザインが同じなので、ドミトリー専用のアネックスとして誕生したようだ。
1泊50ペソ。ちと高め。


ホテルのキッチン。簡単な自炊もできる。
部屋は2段ベッドが3つ。すなわち6人部屋。しかも男女ごちゃまぜ。
入口はカードキーによる電子ロックで、バックパックが余裕で入る鍵付きの大きなロッカーがある。
できたばかりだけあってとてもきれいなのだが、シャワーの排水が悪くて足もとが水たまりになってしまう。そしてドアの開閉がどうやっても大きな音がする上に、キッチンで真夜中まで大騒ぎでうるさい。
もっとも耳栓を用意していたので問題なし。ベッドは上で照明が目の前だったけど、これもアイマスクで問題なし。この旅で初めて熟睡できた。