野崎島と聞いてピンとくる人はまずいないだろう。
場所は長崎県五島列島の北の端。
管理人がひとりいるだけで、実質的な住民のいない無人島。
なぜ野崎島へ渡ろうという気になったかというと、
丘の上に建つ教会の佇まいがとても素敵で、写真に収めたいと思ったからだ。
野崎島へ渡るには、隣の小値賀島からしか船が出ていないので、まずは小値賀島へ渡る。
小値賀島へはいくつかのルートがあるのだが、吾輩は佐世保からフェリー「なるしお」に乗って渡ったのであった。
ちなみに乗船料は、大人ひとり2等片道3180円也。
ちょっとお高いなと思ったあなた!往復で買うとなんと4000円の超お買い得に!!
野崎島へ渡るには、予め「おぢかアイランドツーリズム」に連絡が必要。
小値賀島に降り立ったら、まずはフェリーターミナル内のアイランドツーリズム窓口へ向かう。
フェリーが時化で遅れて乗り継ぎの出航まで時間がないため、宿泊料の支払いは帰ってからで良いとのこと。
すぐに200mほど離れた町営船「はまゆう」の桟橋へ向かう。
フェリーより撮影した野崎島の北端。
平べったい小値賀島と違って、白っぽい流紋岩質で急峻な地形をしている。
上陸した港周辺の集落跡。
沖ノ神島神社の神官が2001年に離島したのを最後に無人島化したとのことだが、
いつ崩壊してもおかしくないくらい朽ち果てている。
ここから15分ほど歩いて、唯一の宿泊施設となる「自然学塾村」へと向かう。
そして、すぐに違和感を感じるのが、そこら中に張り巡らされたフェンスだ。
島に何百頭と生息している鹿の侵入を阻むためのものというのはすぐに想像できるが、
無人島でフェンスに囲まれた中で活動する様は、まるでジェラシックパークそのもので、変に気持ちが盛り上がるのであった。
もっとも、ゲートは開放されたままなので、鹿が自由に出入りしてるけどね。
自然学塾村への道は途中やや高いところを超えていくが、
視界が開けるとともに、美しい白亜のビーチが目に飛び込んでくる。
ビーチの周辺の砂丘にびっしりと生えているのは、「はまごう」という海浜植物。
鹿が食べないため、一大勢力となっている。
二半岳に登ったときに何度か見かけた赤い実が鮮やかな「玉サンゴ」
島では鹿の食害が深刻なのだけど、真っ先に食べられてしまいそうに見えるこの植物には、毒があるそうだ。
さて、ここが2泊の間お世話になった「自然学塾村」
見てのとおり、旧校舎を改築したものだ。
食事は自炊のみだが、電気、キッチン、トイレ、シャワーを完備している。
なお、鹿とイノシシの侵入を防ぐため、学塾村の周囲はフェンスで完全シャットアウトされており、
夜間は安全のためフェンスの外に外出禁止なので注意されたし。
医者のいない孤立した島なので、やむを得ない措置である。
チェックインした後、さっそくお目当ての教会へ。
かつての段々畑に囲まれ、とても日本とは思えない光景だ。
島の数か所にこうした段々畑跡があり、なるほど東洋のマチュピチュといわれる所以だ。
教会内部もいつでも見学できる。
ステンドグラスから差し込む光が幻想的だ。
滞在中晴れっぱなしで、雲を見ることすらなかったほどの好天に恵まれた。
当然、早起きすれば美しい日の出がこの通り。
全てが絵になるこの瞬間
ビーチで朝日を身体いっぱいに浴び・・・
そして波と戯れる。。。
携帯もろくに通じないこの島で、何もすることがない贅沢。
こんな気持ちの安らぐ旅は何年振りだろう。。。
でも、自然の厳しい場所であることは忘れてならない。
天気は良かったけど、風はものすごく強かった。
きちんとした格好で来てこそリラックスできるというもの。
滞在中、多くの人々との出会いがあってとても楽しかったが、
今度また、友人や家族と共に来てみたいなと思った。