バーティノフマスクというピント合わせのツールをご存じだろうか。
望遠鏡の先端にスリットの入ったマスク取り付けることにより、
ピントの合ったときの星像が対照的な形になることを利用してピントを合わせることができる。
ヤフオクで自作販売しているのをたまたま見かけ、手ごろな価格だったため購入してみた。
商品名は「バーティノフマスク」だが、正しくは「Carey Mask」のようだ。
アルミ板を加工してあり、自作品とは思えない精巧でちゃんとした作りである。
フードに傷がつかないようネジにビニールがかぶせてあり、
口径に合わせてスライドできるため、ぴったりとフィットできた。
しかし、このマスクをかぶせると星がとても暗くなるため、
木星クラスの明るさでもファインダーを覗いてピントを合わせるのは無理。
(この望遠鏡に直焦点でカメラを接続するとF6.7の明るさになる。)
PENTAXのカメラの場合、マニュアルフォーカスに切り替えてライブビューにし、
Infoボタンを押すと最大10倍表示が可能なので、それで合わせるのが一番良い。
赤道義を用意していなかったので、ほとんど動かない北極星でピントの合い方を撮影してみた。
ピントがいまいち合っていないときは、このとおり横長の星像となる。
もう少しピントを追い込むと、横に虹色の光条が出てくる。
さらに追い込み、きれいな虹色の光条が4本現れて対照的な形になったら、ピントが正確に合った証拠だ。
※追記
上記の写真では中央が露出オーバーで潰れてしまっているが、正確にピントが合うと中央が3つに分裂し、直行方向にかすかな光のヒゲが出てくる。
これでかなり厳密なピント合わせが可能となった。
おすすめのツールです。
今朝未明、直径約45mの小惑星が地球に大接近した。その距離なんとわずか27,700㎞!
静止衛星の軌道が約36,000㎞だから、その軌道の内側をかすめたことになります。
1908年に現ロシアで起きたツングースカの大爆発は、直径数十mの小惑星か彗星の衝突によるものと推測されており、
その時の爆風で半径30㎞に渡って樹がなぎ倒されるというすさまじいものでした。
もし東京都心に今回の小惑星が落下したら、壊滅的な被害をもたらしかねない威力です。
それにしても、奇しくも同じロシアで、この小惑星の大接近の当日(世界時)に別な隕石が落下するという珍事件が起きるなんて…
さて、その小惑星の撮影に見事成功しました。
撮影データは以下の通り。
Telescope : PENTAX 105SDHF (700mm F6.7)
Mount : Vixen SXW
Camera : PENTAX K-5IIs
ISO : 12800
Shutter Speed : 30s
まずは獅子座の3つの系外星雲と共に撮影した渾身のショット!
系外星雲「M65」と「M66」のど真ん中を通過しています。これは、東経130度付近でしか観測することのできなかった貴重な現象です。
こちらは前後8コマをトーナメント方式で加算平均合成。
滑らかで系外星雲の細かいでティールが再現できていますが、小惑星のように移動する物体は、8分の1の明るさに暗くなってしまいます。
次に小惑星の写っている6コマを比較明合成。
小惑星の軌跡ははっきりとしますが、ややノイジーです。
飛来する小惑星の臨場感が感じられるのは、やはり動画ではないでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=-g69ZXebatw&feature=youtu.be
ついでに撮影したM81とM82です。
3枚を加算平均でコンポジットしました。
左上にNGC3077も写っています。
昨年末に、3月のパンスターズ彗星、そして年末のアイソン彗星に向けて、ちょっとだけポラリエシステムをパワーアップしました。
ポラリエの致命的な欠点は、極軸望遠鏡を使用するために中央の台座(雲台ベース)を外さなくてはならないことです。
そのため、いくら正確に極軸を合わせても、機材を据えると重みで極軸がずれてしまいます。
この問題を解消するため、極軸望遠鏡を刺したままセットできるオリジナル雲台ベースを販売しているところもあります。
しかもカウンターバランスウエイトも取り付けられるようになっており、スペックの2㎏を超える積載重量を実現していたりします。
それはそれですごく魅力的で、いつかはそろえたいとは思いますが、一方でポラリエ最大の魅力である手軽さが失われてしまいます。
そこで、現在の覗き穴を利用して、なるべく簡単に極軸合わせの精度アップを図ろうと考えました。
まずは、覗き穴の視野はどのくらいなのか、撮影して大雑把に計測してみました。
写真に写った景色の範囲と、眼鏡をしたままで覗いたときの範囲がほぼ同じだったので、Google Earthで約10度の視野であることがわかりました。
北極星は天の北極から1度弱離れており、2度弱の円を描いています。
つまり、単に覗き穴に導入するだけよりは、中央付近に導入した方が、より精度よく合わせられることになります。
今まで三脚とポラリエの間は手持ちの自由雲台で固定していましたが、それだと向きを微調整しての北極星導入ができないので、
K-ASTECの極軸高度・方位調整装置「XY50-35」を購入しました。
この極軸高度・方位調整装置は、小さいなりながらも、頑丈でガタは皆無です。
さらに視野の中央がわかりやすいように、ストローの先端にホッチキスの針を貼り付けて、覗き穴に差し込めるようにしました。
ストローを差し込んだ状態で覗くと、十字線がぼんやりと見えるのですが、
これには北極星が重なったときにどこにあるのかわかりにくくなる欠点があります。
そこで今考えているのは、視野が2度になるようにマスクする方法です。
北極星を導入するときに、スマホアプリのGoogle Skyなどを使って、北極星が天の北極に対して現在どの方向にあるかを調べておけば、
その方向の視野の端に北極星を導入するだけで、理論上は±0.2度くらいの精度で極軸の設定が可能になるはずです。
次の週末あたりにちょこっと細工して、今度は効果のほどを試写してレポートしたいと思います。