ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【中国報道】難波先生より

2012-09-20 12:56:35 | 難波紘二先生
【中国報道】NEWSWEEK日本支社がReuter記事を転載している。この間の日本メディアによる中国でも報道が、例によって「横並び」の事件報道にとどまっているのに対して、中国知識人の意見を「実名報道」しているのがよい。
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2012/09/82441.php


 英国の報道は「実名報道」が基本原則である。3歳の幼児を殺害した8歳と10歳の少年についてもきちんと実名報道した。「大陸法」の国と違い「慣習法」の国だから、結果責任が問われるのである。「責任能力」などというわけのわからんものは、出る幕がない。2人は刑を終えた後、別の都市で名前を変えて生活している。
 澤泰臣:「英国式事件報道:なぜ実名にこだわるのか」(文藝春秋, 2010)


 それはともかく、この「人権活動家」が「日本政府に礼をいわねばいけない。自国で初めて大規模なデモができたのだから」と述べているのが印象的である。「なれ合いデモ」がいつでも反政府運動に転化する可能性を予知しているのである。
 中国共産党機関紙が「日本の挑発が続けば、中国は経済的制裁に出るかも知れない」と述べているのも注目される。これも元記事はReuterだ。
 http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2012/09/82443.php


 WTOにやっと入れてもらえた国だから、対日禁輸の措置はとれない。
 やれるとしたら、「在中日本資産」の接収だろう。所有権を移転するだけだから、生産と就労には影響が出ない。
 ただブランド名とか商品のデザイン特許、技術特許など「知的所有権」レベルで難問が山積する。


 香港では「1万隻の漁船団」が尖閣諸島に出港すると報じているので、中国政府が戦争ぎりぎりの瀬戸際外交で押してくるのは間違いないだろう。日本政府も中国進出企業も、覚悟しておくことだ。
 それにしても日本メディアの報道能力の低さにはあきれる。「調査解説報道」をする能力はないのか?


 「サーチナニュース」は中国系の日本語電子メディアだが、こんな話題を掲げている。面白い冗談だ。
<反日感情の高まりにより、中国国内では「日本人と犬はお断り」という看板を掲げるレストランが出現している。同様の看板を見かけたスレ主は、「こんなのは意味がなく気分が悪い」と感想を述べたが、ネットユーザーからは次のような意見が寄せられた。
・「これは犬に対して失礼でしょう」
・「絶対に犬を侮辱している!」
・「頼むからオレたちの犬を侮辱するのはやめてくれる?」>

 戦前の「上海租界」(アヘン戦争で開港を認めざるをえなかった清国政府が、外国人を隔離しようとして設置した外人居住区)の入口に「犬と中国人立ち入り禁止」という看板があった故事を、今回応用したものだ。戦後の日本でも、米軍用レストランやゴルフコースには、「日本人立ち入り禁止」という看板が掲げられていた。1960年代の米国では「黒人立ち入り禁止」のレストランや施設はいくらでもあった。

 しかしもう少し、自国の歴史を勉強してくれないものか。1957~60年の毛沢東が指導した「大躍進」政策は3,000万人の餓死者を出した。人肉食も多発した。日帝の侵略による被害者どころではない。そのことはちょっと調べれば、インターネットでわかる。清朝も李氏朝鮮も、要するに国家指導者がバカだったから、列強の侵略を受けたので、侵略した側だけが一方的な悪者ではない。

 すべてを白か黒か、善か悪かという道徳的二分法(ダイコトミー)で二分するのは、「中華思想」の悪いくせだ。ラフカディオ・ハーンは「心」(岩波文庫)で、「日本人にはあるエピソード(ないし言明)を道徳的に解釈しようとする傾向がある」と述べているが、その傾向は朝鮮や中国ではもっと強い。すべて儒教の影響である。

 魯迅は「阿Q正伝」で、ちゃんとした思想も原理原則もなく、ただその時々の感情で簡単に権力者に扇動されてしまい、自分の行動の帰結も読まないまま、「革命運動」という暴動に参加し、首をはねられる哀れな「民衆の中の1人の男」阿Qを、中国人の代表として描いた。発表されたのは1921年で、90年以上前だ。しかし意味のない中華思想の復活といい、今も多数の阿Qが中国には健在のようだ。
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