goo blog サービス終了のお知らせ 

盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

年に一度のハレ

2019-01-26 22:36:28 | にゃんころ
私が大学を出て社会人になったのは、バブル景気が始まる数年前でした。

自分でいうのも何ですがかなり偏差値の高い理系の大学で、研究室に東証一部上場企業のほうから求人がくる完全な売り手市場の就職でした。
それを選んでいれば、私の人生もまた違ったものになったでしょう。
私が選んだのはいまでいうベンチャー、社員数十人の設立間もない企業でした。
給料は安かったし、嫌な思いもたくさんしましたが、それなりに楽しかったです。

で、会社に内緒で物書きの仕事をしていたら、その読者からヘッドハンティングされて大学教員になったわけですが、まあ今回はその話はどうでもいい。


同期や歳の近い親しい者数人で年に一度、ひとり1万円でとにかくうまいものを食おう、という企画を考えました。
若いうちにいいものを食っておかないと、舌が貧乏なままの人生になってしまう。

テーマはその年によってフグ、うなぎ、蟹、猪、貝づくし、寿司……
いずれも銀座や築地、両国などの、その道では知られた店。
当時の1万円は、いまの価値でいえば2万円近いでしょうか。
大金持ちの人に2万円の食事は当たり前かもしれませんが、まだ20代だった我々には「本物を舌で覚える」貴重な体験でした。

私の母は、化学調味料を一切使わずに私を育ててくれました。
年に一度のハレの日と合わせて、私は味に敏感な人間になりました。


チェーンの牛丼屋で3回食うより、独立した店、たとえば浅草の今半の牛丼を1回食うほうが、豊かな食生活を送れますよ。
ただし今半の牛丼はランチでしか食べられないので、ご注意を。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿