(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしてアップ。その後、内容を少し改め、再アップしたものである。)
秋田県南、最奥の地に有る虎毛山には前年(2017年)の秋に初めて登っている(記録はこちら)。
今回は二回目、初夏6月3日の記録である。
虎毛山山頂付近から見た眺めた神室山(+前神室山)、そして鳥海山。
何故、この日に行ったのか。一番の理由はfb友人Wさんの五月下旬のfb投稿記事だった。
隣にある神室連峰や遠く鳥海山の眺めが実に素晴らしいのだ。
(´π`;)ワタシも早速、観に行きたいと思ったが、何しろマイナーな山なので平日単独ではクマさんが怖い。
ところがその後、Wさんから6月3日が山開きだと教えてもらった。
いくらなんでも大人数が登るその日くらいはクマさんも遠慮するだろう(元々、虎の山だし)と思い、
天気も上々なので、ことに及んだような次第。
結果は↑写真の通り。
ところで虎毛山はとても奥地にある山なので、(秋田県側の)下界からその姿を見ることはかなり難しい。
次の写真は秋宮温泉入り口付近から見た姿で、もしかしたら下界(山麓)から見えるのはここともう1ポイントくらいだろう。
秋宮温泉入り口から見た虎毛山(下山後、撮影)。
今回の非合法マップ(オレンジ破線が今回歩いたルート。)
登山口からホンの少し奥、旧・赤倉橋の手前までクルマを進め、駐車。
このすぐ先に通行止めの標識があるが、約2キロ先の登山ポストまでクルマを進める人も多い。
山開きの日なのに、まだ早すぎたのか、登山者は我独りのみ。
朝6時頃、クマ除けホイッスルを吹きながら、歩き出す。頭上には誰も渡れない謎の赤い橋が。
この付近の標高は約480m、1433mの山頂までの標高差は950m。
今のところ、今年一番の標高差で、長丁場になりそうだ。
よってこのレポートも少し長くなるが、どうかお付き合いのほどを。
初めは渓流沿いの平らな道だが、これが一時間くらい続く。今の時期、花はフキ以外はさっぱりだった。
旧・赤倉橋 アキタブキの古花
崩壊地に咲き残っていたキクザキイチゲ。花は傷んでいた。
崩壊地の雪崩あと 休憩しない休憩地の先から急登が始まる。
崩壊地を過ぎると、ほどなく、赤倉沢の最後の橋(標高約625m)に到着。
ここを渡った場所は「休憩地」とも呼ばれるが、今までずっと平らな道で疲れてないので、無理に休憩するまでもない。
その後は、高松岳への分岐点の有る1234m地点まで長い登りが始まる。標高差は約600m。
地図で見ると、けっこう厳しい登りのように見えるが、いざ歩くと危険な個所も無く、
前に登った神室山・西ノ又コース(こちら)に較べたらずっと楽だと感じた。
そう思ったのは、登山道がとてもよく整備されているからだろう。
針葉樹の多い森林は暗く、はたまた季節的なものなのか、花はギンリョウソウ以外、何も無かった。
急な斜面がひと段落すると、枯れた針葉樹がやたらと多くなる。ここの針葉樹はヒバ(ヒノキアスナロ)やクロベ。
ギンリョウソウ 枯れた針葉樹林
夫婦桧付近まで登ると、サラサドウダンがほどよく咲いていた。
サラサドウダン
さらに進むと新緑のブナ林に変わる。
樹間越しに雪の残る山々がちらりと。
神室連峰最高峰・小又山
遠く月山も見えた。
そうこうしているうちにポッカリと1234m分岐地点に到着( (´π`;)一応、ここまではコースタイムの三時間で到着)。
少し歩くと、目の前に虎毛山が初めてその姿を現わす。
ここから見る虎毛山は、東北の高山としては珍しく山頂まで樹林にびっしりと覆われていた。
虎毛山本体を望む。
1234m分岐地点を過ぎると、今まで見えなかった北東側の景色が展開する。
虎毛山山頂までに見かけた花たち。
タムシバ
ムラサキヤシオ
オオカメノキ 山頂の避難小屋が見えて来た。
樹高が低くなり、山頂の避難小屋が見えて来たが、実はここから先がなかなか進まなかった。
理由は以下の写真撮影での停滞と突然のスタミナ切れ。
分岐点から山頂まで標高差200mで45分となっているが、今日のワタシはその倍、一時間半を要した。
その間に山開き登山の皆さんに次々と追い越され、結局、山頂までは4時間半もかかってしまった。
まずは西側の山岳展望。
虎毛山山頂付近から見た眺めた神室山(+前神室山)、そして鳥海山。
鳥海山のアップ
神室山のアップ
鳥海山も綺麗だが、ここから望む神室連峰は格別に素晴らしい。
緩やかな山ばかりの東北では珍しくアルプス的な山岳景観と言える(東北では他には朝日連峰、飯豊連峰くらいか)。
一応、山座同定を試みた。
神室連峰核心部
神室連峰南部と月山
避難小屋のある山頂を通り越すと、目の前に突然、湿原が広がる。
この風景ゆえに、虎毛山山頂部は「雲上のオアシス」とも呼ばれている。
山頂の湿原。遠くに見えるのは栗駒山。
栗駒山をアップで。
個人的には先の神室連峰の眺めとともに、この湿原も『絶景』だと思うのだが、いかがなもんだろう。
湿原越しに須金岳。
鬼首カルデラと禿岳。
山頂付近で見た花たち。
イワカガミ チングルマ
ヒナザクラ ミツバオウレン
他にはショウジョウバカマを見かけた。
今回、山頂部の高山植物は季節が早く、開花しているものは僅かだった。
ただし季節が進んでも、この山の花の種類や量はあまり変わらないように感じられた。
下山は山開き参加ご一行様と一緒だったので、三時間弱とほぼコースタイム通りだった。
【後日談】
虎毛山には初夏、初秋と登ったが、出来れば紅葉時期にも行きたいと思っていた。
ところが2018年の真夏の水害でメイン登山道が崩壊し、以降、このルートからの入山はかなり難しい状況となった。
この件については、SONEさんの「(続)東北の山遊び」に詳しい報告が有るので、リンクを貼らせて頂く。⇒こちら。
今後、虎毛山は他の山の上から眺めるだけの存在になってしまうのか。
2017/05/29 山伏岳から眺めた虎毛山。
以上。
虎毛山の登山道につきましては、秋田県と協議の上、従来のルートを復旧する事が決まりました。
但し、大型の重機を入れての工事になりますし、国定公園なので国も絡む話ですので、何時復旧が終わるのか未だ分からない状況です。