わが渡辺家では豆まきをしない。
渡辺氏の祖と言われる平安時代の武将、渡辺綱(わたなべのつな)が鬼を退治したからとか、妻の父は言っている。
十年前、家族そろって妻の家に入り、苗字が変った。
私の生家では小さな頃、節分となると長い青竹の竿の先に柊(ひいらぎ)の葉をくくりつけて、その下に背中に背負うくらいの竹かごにミカンや餅?を入れ、かごが屋根の上に出るように軒先に立てかけたものだ。屋根の上の鬼を捕まえるためだ。暗くなった屋根の上に鬼がいると思うと怖かった。家の中の明かりの下ではみんなで炒った豆を撒きながら「鬼は外、福は内」と叫んで楽しかった。
子供の頃は季節ごとに行事があった。「かやかや」と呼ばれる藁で作った馬を小さな山車に乗せて引く祭りや、お盆や彼岸、ススキや団子を東の縁側に飾って月の出を待つ月見。正月は新しい下駄を履いた。
渡辺氏の祖と言われる平安時代の武将、渡辺綱(わたなべのつな)が鬼を退治したからとか、妻の父は言っている。
十年前、家族そろって妻の家に入り、苗字が変った。
私の生家では小さな頃、節分となると長い青竹の竿の先に柊(ひいらぎ)の葉をくくりつけて、その下に背中に背負うくらいの竹かごにミカンや餅?を入れ、かごが屋根の上に出るように軒先に立てかけたものだ。屋根の上の鬼を捕まえるためだ。暗くなった屋根の上に鬼がいると思うと怖かった。家の中の明かりの下ではみんなで炒った豆を撒きながら「鬼は外、福は内」と叫んで楽しかった。
子供の頃は季節ごとに行事があった。「かやかや」と呼ばれる藁で作った馬を小さな山車に乗せて引く祭りや、お盆や彼岸、ススキや団子を東の縁側に飾って月の出を待つ月見。正月は新しい下駄を履いた。