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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

ぴーなっつ最中~シーちゃんのおやつ手帖60

2008年08月22日 | 味わい探訪
千葉の名産品・落花生を使ったお菓子。
なごみの米屋は羊羹で有名な老舗ですが、この最中もオススメです。
10個入りは落花生の形をした赤いケースに入っていて、贈り物にもピッタリですよ☆

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こちら、自由が丘ペット探偵局-24-

2008年08月22日 | 投稿連載
こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めぐみ
        24
 消防団の男は、中島と名乗った。
そして小河内神社はすぐそこだからと親切に案内してくれることになった。
今は、奥多摩駅の近くで金物屋をやっているが元はダム湖に沈む前の小河内村
に曾お爺さんの代から住んでいたとまるで湖のそこに沈んだ村が桃源郷だった
ように饒舌に語りだした。秋になると山が色づき、稲刈りの後の祭りは美しか
ったと云う。そして鶴の湯という温泉場があって湯治客で賑わっていたという。
しかしその輝く光景もその男が知る筈もなくお婆ちゃんからの伝聞だった。
神社の鳥居の下で軽トラとサーブの二台の車を停めて、暗い参道を率先して
登りだしながら声だかにしゃべる中島の話ぶりから後をついて歩いていた春
や健太は、この中島という男がおばあちゃん子であるのがわかった。
それは特に春には、奥多摩に迷い込んだハルおばちゃまのことを少し詳しく
話してから急に中島なる男の態度が変わったことでもこの人は、私と同類項
の情緒を持っていると確信した。ただ上田祐二だけは、そんな中島論に無頓着
で根っからの都会育ちの性質から早くこんな暗い山の中から抜け出して明るい
青山辺りのカフェバーで冷たいオンザロックを飲みたいという気持ちで正直
いっぱいだった。
それは、ちょうど喉の渇いたのを我慢して散歩に付き合う飼い犬のように帰って
からのおやつと水皿だけを希望にテクテクと歩くのに似て、祐二もハルさん
ミッション後のバーでのゆったりソファと冷たい氷に絡まったアルコールとを
ただひたすら心の拠り所に春の後をつきあって歩いていた。
 小河内神社の社まで来た。しかしそこには、ハルさんの姿はなく、夜の水辺を
背にしーんと静まり返っていた。中島がサーチライトを境内をぐるりと照らした。
「誰もいないようだね。」
「ハルおばちゃまー!」
春が名前を呼んだ。
下の軽トラの荷台に積まれた2匹の犬がか細く鳴いて応えた。
「ハルさーん!」
祐二が次に呼んだ。
犬の遠吠えが消え、木立の葉のざわめきが聞こえて来た。
「バカ。だから動くなって言ったんだ。だから年寄りはきらいだよ。」
健太は腹の底から大きな声で言った。
「いくら病気だからって自分のしてることでどんだけ迷惑かけてるか、わかん
ねえのかよ。あの息子さん夫婦の気持ちがよくわかったよ。本当によ。」
「そんな迷惑だったら私ひとりで捜します。」
春がそう言うと神社の後の森へ走り出した。
「ああ。危い。そっちは湖への崖になっているだけですよ。」
中島がライトをかざしながら春を捕まえて木立の間を照らして、ほら何もないでしょ。
ここにいたら返事できますから、と納得させるように裏を偵察して正面へ帰ってきた。
「わるかったよ。春ちゃん。」
健太が迎えて目を合わせずぽつりと云うとペンライトで境内を照らして歩き出した。
「ハルおばちゃまって、本当にここにいたのかな?」
社の階段に座り込んで祐二が本音を云った。
「何、全然別のとこにいて奥多摩にいるみたいに思って電話してたってこと?」
参道の暗がりからペンライトの一点になった健太が聞いてきた。
「そこまでボケてないでしょ。おばちゃま。」
春がもう一度ハルさんのケイタイにアクセスしてみた。
「おばちゃまは近くにいる。きっと・・・」とケイタイを耳に押し当てた。
すると闇の中でケイタイの発信音が響いた。トロイメライの着メロ。
「ハルおばちゃま!」
春が叫んだ。
「どこだ。」
中島、祐二と耳を済ませた。
「ここだ。」
健太が狛犬の陰から声をあげた。
春、祐二と中島のサーチライトを頼りに健太のところまで駆け寄った。
健太は、ペンライトを狛犬の石塔の足元に向けていた。
そこには、ケイタイが転がっていて瀕死の着信ランプが点滅してすぐに消えた。
闇夜に響き渡ったトロイメライがプツンと空爆にあったコンサート会場のように
深い沈黙に演奏が閉ざされた。
春は、そのケイタイを手にとった。
「もう完全に電池がなくなった。」
「いたんだ。あのおばちゃま。」
祐二が春からケイタイを受け取り、しみじみと言った。
「こっちにも何か・・・」
中島がライトを赤々と地面へ照らした。
「ああ。おばちゃまのバッグ。」
春は、掠れた声を出した。
そこにあったのは、引き裂かれた西陣織のバックだった。
中身はなく、三つに裂けていた。
「犬だな。」
健太がバッグを覗きこんでしっかりとした口調で云った。
「野犬かもしれない。」
と中島がやはり覗き込んで云った。
「ハルさーん。」
春はもう一度奥多摩湖の方へ叫んだ。
「一匹じゃないぞ。こりゃ。」
健太は、狛犬のまわりと社の土台とペンライトを照らしながら説明した。
「犬の小便の跡がある。それもあっちこっちに。少なくとも五六匹はいた。しかも
ついさっき。みんなまだ新しい。」
「ハルさーん。ハルおばちゃまー。」
春はますます大きな声を出した。
風が湖の水面を渡った。
そしてザブンと何かが水に落ちる音がした。
「何?」
祐二が言うと春が健太の手をとった。
「あれ。ドラム缶橋の方だ。」
中島が緊張した声で呟いた。

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