獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

宮崎県が口蹄疫の終息を宣言!

2010-08-29 00:06:57 | 仕事

昨日の827日、宮崎県の東国原知事は記者会見を開き、口蹄疫終息宣言を発表した。以下に全文を記す。

昨日までに、対象農場すべての堆肥化処理を終え、口蹄疫ウイルスを撲滅するための措置を完了しました。
 ここに、今回の本県における口蹄疫は、終息したことを宣言いたします。

 420日の発生確認から4ヶ月余りという長期間に及ぶ苦闘でありましたが、関係の皆様の必死の御努力により、この日を迎えることができました。
 本県のみならず我が国の畜産を守るために大切な家畜を犠牲にし、あるいは、休む間もない消毒作業に追われた畜産農家の方々、尋常ではない状況の中での防疫対策に昼夜を分かたず従事いただいた隣県を含む県内外の多くの方々、そして、温かい御支援をいただいた全国の皆様に対し、心から感謝を申し上げます。
 本当にありがとうございました。

 今後本県が取り組んでいかなければならない、全国のモデルとなるような安全・安心な畜産の再生や、深刻な影響を受けている地域経済の復興は、容易に実現できるものではありません。
 政府並びに全国の皆様のこれまで以上の御支援、そして何よりも、畜産農家をはじめとする県民お一人おひとりが、それぞれの立場で、一日も早い再生・復興を目指して御努力いただくことが必要であります。

 私も、引き続き全力を尽くしてまいります。皆様の御理解、御支援を切にお願い申し上げます。

 東国原知事はこの終息宣言を簡潔かつ率直に述べられており、420日からの4月間の宮崎県の大変な苦闘が小生にも十二分に伝わってくる。今回の口蹄疫では総計約29万頭の牛や豚が殺処分され、その経済的損失は2,350億円にも上った。また、防疫措置に参加された人々のうち35人の方々が負傷され、そのうち3名は重傷を負われたとの報道もあった。まさに、命がけの防疫措置だったのである。

日本の全都道府県は、今回の宮崎県の口蹄疫を他山の石として、“次は我が県で口蹄疫が発生するかも知れない”という警戒心を持って頂きたい。そのためには、少しでも疑わしい患畜が見つかれば直ちに調べられる検査体制の構築が必要である。具体的には、現在、(独)動物衛生研究所でしか行っていない口蹄疫ウイルスのPCR検査を各都道府県の家畜保健衛生所でも行えるようにすべきである。PCR検査は、現在、家畜保健衛生所でも頻繁に行っている検査であり、後は口蹄疫ウイルス用のプライマーを準備するだけで良いはずである。そうすれば、仮に口蹄疫の発生を許しても、早期発見が行われ、今回のような大きな被害は防げるであろう。農水省は、各県レベルで口蹄疫の遺伝子検査ができるよう、直ちに指示を出すべきである。


コメントを投稿