幻蚊大戦

虫に刺されやすいんです。
蚊一匹対人間百人が合コンしたとして、真っ先に蚊にイタダカレちゃう自信があります。
二酸化炭素排出量が多い人ほど虫に喰われやすいとか、Ａ型の血が好まれるとか色んな説がありますが、とにかく年がら年中、虫に刺されまくりなんです。

そんなわしがここニ週間ほど悩まされている、見えざる敵。
全身いたる所、毎日一箇所ずつコンスタントに虫刺されの跡が増えていくんですが、敵の姿が一向に確認できないのです。
蚊はもちろん、小さい虫が飛んでいれば、結構すぐ気付くものですよね。ところが部屋中隅々まで確認しても、何も飛んでいないんです。
時期尚早だけど一応ペープノーマットも設置したし、布団乾燥機もかけてるのに。

犯行パターンから推察するに、敵は複数ではなく単独犯。
痕跡は蚊に喰われたモノよりは小さく、ダニでもなく。
・・・誰？一体何者？
何故こんなに執拗にわしの血を狙う？

だってね、『執拗に』という表現がぴったりなんです。ヤツの手口は。
わしは病院で看護婦さんに『あぁら注射しやすい血管ねぇ～』と褒められるほどの血管ぼこぼこ人間なので、虫にとっても狙いやすい血管の持ち主と言えるでしょう。特に腕なんか、刺してくれ！ここが血管だ！とアピールしまくりの血管博覧会状態です。
なのにヤツは、何故か血管をひと突きにはしないのです。まず血管から2～3ミリ横に外れた場所に刺し跡があり、『ふふっヤツめ、外したな』などと薄笑いしていると、翌日、確実にその最寄の血管に渾身のひと刺しが放たれているのです。
予告刺し、本番刺し、予告刺し、本番刺し、の繰り返しの毎日。
そうやって犯行予告されてしまうと、『あぁ、今夜中に本番刺しされちゃうんだ。どうしよう』と一晩中、見えざる敵に震えおののくしかないのです。
それがもう二週間も続いているのです。

わざとだ！わしをいたぶって楽しんでいるＳ虫だ！

としか思えないじゃないですか。

思い返せばこれまでの人生、色んな虫に刺されてきました。
川原で戯れるカルガモ親子の姿を大勢の見物客達に混じってほのぼのと眺めていたら、やぶ蚊の大群に襲撃され、全身痺れてショック状態＆呼吸困難に陥り、周りの見物客達を驚かせたこともありました。
スタジオでリハーサル中、迷い込んできた羽虫にわしだけが襲われ(血気盛んな他のメンバー達は無傷)顔面ぼこぼこにされて、その後に予定されていた写真撮影が延期になったこともありました。

そんな豊富な虫刺され経歴を持つわしが、
今度のヤツはタダ者ではない ヤツは人間の弱点を知り尽くしている
と恐れおののく理由。

今日、ついにやられたんです。
予告刺しを、急所中の急所に。


足の小指の爪のちょい脇。



本番刺しが怖くて眠れません。