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乗降


よく利用している電車の区間であっても、
いつもとは時間帯が異なるようなときは、
ちょっと勝手が違うときがある。

秋葉原から、中央線(総武線)を用いて、
新宿方向へと、移動するとき。
次の駅、御茶ノ水駅において、
快速電車へと乗り換える乗客が多い。
この日は、快速電車が停車しない、
“その先の駅”での用事があり。
御茶ノ水駅での乗降する乗客の動きを阻害しないよう
ドアより、少し離れた位置にいることにした。
まだ夕方の帰宅ラッシュまでには、
1~2時間ほど早い時間ではあったけど、
多くの乗降客が、駅のホーム上を行き来するのが、
窓越しに見える。
すぐに反対側のホームへと、
快速電車の到着が近いことを知らせるアナウンスがあった。
そんなとき…。
「この電車は、“市ヶ谷”には停まりますかぁ?」という、
男性の声が、ドア越しに聞こえてきた。
かなり大きな声ではあったけど、
それが、直接、自分へと向けられていたものでもなく、
ほんの少し、気づくのに遅れるものとなった。
その声へと顔を向けると、メガネをかけた年配の男性がいた。
どうやら、この各駅停車に乗るべきなのか?
それとも反対側のホームにくる快速電車に乗るべきなのか?
…が、分からないらしい。
ホーム上には、駅員の姿もなく。
そこで、“誰か、教えてくれる人はいないのか?”と、
ホーム上から、ドア越しに、大きな声で問いかけたのだろうか?
そんな状況を、やっと理解できたところで、
ホーム上のベルが鳴り響いた。
「あっ、この電車、停まります」
「市ヶ谷に停まりますよ!」と、
反射的に、声をあげていた。
しかし、駅のホームドアは、容赦なく閉まり。
そのまま電車側の扉も閉じてしまった。
年配男性の顔には、この事態をどう理解してよいのか?
…という表情があった。
いや、今の声が聞こえていたのかも分からない。
人を置いてけぼりにしたようなバツの悪さがあったもの、
窓越しに見えていた御茶ノ水駅のホームも遠くなり。
どうしようもなかった。



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