令和3年12月20日(月曜日)
令和3年第4回日田市議会定例会が閉会しました。
詳しくは、後日、報告します。
まずは私の討論を。


通告に基づき、議案第79号 日田市中津江ホールの設置及び管理に関する条例の廃止について、賛成の立場から討論を行います。
中津江ホールは、平成6年11月の完成以来、教育、芸術及び文化活動の振興を目的とし、中津江村ふるさとまつりをはじめとするイベント会場として利用され、愛されてきた施設であります。総床面積973㎡のホールには、日田杉がふんだんに使われ、木のぬくもりが感じられます。一方で、建築後27年が経過する中、利用者数の減少や老朽化に伴う維持管理費の増加が懸念されております。
さて、本議案の提出の背景には、上津江地区、中津江地区の公共福祉施設の移転整備を協議する中で、より安全な場所への移転を検討するにあたり、災害発生のリスクが少ない移転先として中津江ホールが挙げられ、その解体が検討されることとなったという経緯があります。
そこで、市は、本年3月の第1回定例会に提出した令和3年度一般会計当初予算案に、「中津江地区公共福祉施設移転整備事業」を提案し、中津江ホール解体工事の設計業務委託、中津江高齢者生活福祉センター・安寿苑の建設工事の設計業務委託、及び隣接する民有地の購入費用を計上しました。
私は、この事業が、令和2年7月豪雨災害からの復旧・復興推進計画の関連事業として位置付けられ、利用者の安心・安全を確保するという目的を理解しつつ、また、被災、全壊した安寿苑を早く再建してほしいという中津江地区の住民の強い要望があったことを十分承知しつつ、3月定例会時点では、この予算を認められないという立場で、結果として、中津江ホールの解体に反対しました。
理由は、先ほど、教育福祉委員長が指摘したように、この予算が、地元との協議や合意形成がなされないまま提案されたことを大きな問題と受け止めたことにあります。具体的には、3月定例会時点において、市は、2月1日に中津江振興協議会から提出された要望書に書かれている「今回の移転計画の基本的な部分については賛成せざるを得ない」との文言を持って、中津江ホールの解体に理解を得られたと認識している段階にすぎず、地域住民の意見集約や合意形成を完了している状態にないこと。また、3月定例会の会期中に中津江地区の自治会長会に説明を行い、自治会長の了解は得たものの、地区として正式な合意を得られているとは言えない状態であったことなどによるものです。
したがって、事業の実施自体に異議を唱えたわけではなく、予算をいったんゼロベースに戻し、地域とのしっかりとした対話を経て、地域との協議を整えた後に、改めて提案してはどうかと判断したものであります。
3月定例会後の5月6日、中津江振興協議会は市長に対して、「なかつえ保育園及びすぎっ子こども園を統合の上、中津江ホールの敷地内に新たに建設し移転する」「中津江高齢者生活福祉センターを中津江ホール敷地内に移転し再建する」との施設整備方針に同意し、「整備にあたって必要であれば、中津江ホールの解体を検討すること」を意見として盛り込んだ「公共福祉施設移転整備方針にかかる同意書」を提出しました。6月4日に、中津江地区の住民説明会が開かれた後は、自治会長、地区社会福祉協議会、地区民生委員協議会、公民館、児童福祉施設の保護者会、むらづくり役場をはじめとする地域の代表と市の担当部署による代表者会議及びこども園分会・交流室分会・デイサービス分会を設置し、具体的な施設のレイアウト案の検討、協議が重ねられたことを確認しました。
このように、中津江地区では、地域住民と行政とが、中津江ホールの解体を前提とした基本設計案を一緒に作成しており、3月定例会の段階で欠けていた地域住民の意見集約や合意形成が、図られたものと判断します。
また、11月13日に開催された住民説明会では、建設予定の中津江の高齢者生活福祉センターは、昨年7月の豪雨災害で被災した安寿苑の再建であることが確認され、今定例会に提案された中津江ホール解体工事の設計業務委託の予算は、上津江地区振興協議会、中津江振興協議会の双方が了承したすぎっここども園となかつえ保育園を統合した新たな保育施設を建設するためのものとの説明がありました。議会としても、3月定例会において、中津江ホール敷地に新園舎を建設するための実施設計業務の予算を認めており、今回、地域住民と行政がともに作りあげ、それによって確定した基本設計を土台とする実施設計を行うために、中津江ホールを解体せざるを得ないという結論には、理解を示します。
中津江ホールに愛着を持ち、親しんできた地域住民にとって、拠り所としての重要な施設が無くなることは、断腸の想いであったと伺いました。その気持ちに寄り添うとともに、地区振興協議会の総意として事業に同意し、早急なる施設整備を進めてほしいという多くの中津江地区の住民の意向を尊重したく、議案第79号 日田市中津江ホールの設置及び管理に関する条例の廃止について、賛成いたします。
なお、本議案および関連する予算議案について、上津江地区には、直接の関係はないとの説明を受けたところでありますが、委員長報告での指摘のとおり、これまで、津江地域の公共福祉施設の移転整備は、「上中津江地区福祉保健施設移転整備事業」として、協議・検討が重ねられたものであります。教育福祉委員会での議案審査の過程で、執行部から「上津江に対しては、今後、誠意をもって対応させていただく」との姿勢が示されましたので、その姿勢を信用し、大いに期待します。今後は、市長を中心として、積極的に地域に足を運び、住民の生の声に丁寧に耳を傾けるなど、上津江地区の住民に対して、誠実かつ真摯な対応を強く求めて、討論を終わります。