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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

ハイブリッド給湯

2010-03-16 11:56:17 | 住宅設備

ハイブリッドと言えば世間一般では自動車をイメージしますが、リンナイが4月よりハイブリッド給湯器を発売します。

そして、一般的に住宅におけるエコと言えばオール電化を連想してしまいますが、設計士のフラットな立場から言えばガスと電気を比較した場合、エコに関するメリットは大差ないと考えています

だから、以前ガスにするか電気にするかの選択は調理機器の相性で決めて良いんじゃないでしょうかと記事にしました。

理由は一次エネルギー効率を含めた評価が関係しています。

ガス会社から家のガス栓に送られてくるガスは損失がありませんから、例えば100作られたガスは、ガス栓から100出てきます。

一方、電気は随分損失されます。電力会社で100作られた電気は、家のコンセントから37しか出てきません。つまり63の電気が送電線の途中で失われているのです。

ですから、給湯器の場合だとガス給湯器(エコジョーズ)では、100のガスで90のお湯を作るので一次エネルギー効率は90%となり、エコキュート(電気)では37の電気で92.5のお湯を作るので一次エネルギー効率は92.5%で結果、大差ない事になります。

暖房の場合は、ガス暖房機だと一次エネルギー効率は87%程度で、ヒートポンプエアコン(電気)だと一次エネルギー効率は一番良い時で200%を超える為電気が有利となります。(但し、ヒートポンプエアコンの場合、外気温で効率が変化します)

最後に調理機ですが単純な湯沸しで比較した場合、ガスコンロの一次エネルギー効率は56%で、IHクッキングヒーターの一次エネルギー効率は29%なのでガスが有利と言えます。

(*上記比較に金額の比較は含まれていません。あくあでも効率の比較です)

以上の3つの比較を読めば、冷暖房はヒートポンプエアコンが良さそうですし、給湯器については大差ない事が分かります。ついでに言えば、冷房は必ずヒートポンプエアコンを使わざるを得ないので冷房器具と暖房器具が兼用出来れば経済的です。よって、ガスかオール電化の選択は調理機器で決めて良いと思います。効率で言えばガスですが、お手入れのしやすさ慣れなどお客様の主観も要素に大きく関わるので、当事務所ではごり押しせずにお客様に理由を説明した上で、選択していただいています。

そんな中、市場に一石を投じられたのがハイブリッド給湯器です。これはエコキュートとエコジョーズが合体した給湯器です。(←私の勝手なイメージとしては、かつて日産のマーチがターボとスーパーチャージャー積んでいましたが、それに近い合わせ技です)

Photo ハイブリッド給湯器は、少量のお湯を使う場合は電気(エコキュート)を使い、大量のお湯を使う場合はガス(エコジョーズ)を使います。

なんでわざわざ合体させるんだと思いながらも、リンナイが出すのでエコジョーズの欠点をエコキュートで補う為かなと考えます。

ところが逆みたいです。

そもそもエコキュートは一日のお湯を確保しなければいけないので、370lや460lのタンクが主流となっています。実はこれがネックで、タンクにお湯を一日貯めないといけないので、いくら断熱性能を上げても熱は外気に奪われてしまいます。結局温め直し的な作業が続く訳ですが、それなら少量のタンクならば熱も逃げにくくなるだろうと言う事と、ヒートポンプが小型化すればより高効率運転が可能になり、足りないお湯はガスで沸かそうという発想の様です。

すごく単純な発想ですよね。

エコキュートの欠点を解消して、足りない所をガスで補っている訳です。

そして、それをガス機器メーカーが目に付けたという逆転劇。恐ろしい商売魂を感じます。(褒め言葉)

この合わせ技により一次エネルギー効率は124%まで上がるようです。ランニングコストもエコジョーズと比較すると約半分になるとの事ですので、ガス派の方はハイブリッド給湯器が良いかもしれません。

発電しながら給湯するガスエンジン(エコウィル)もいいと思いますが、いずれにしてもガスメーカーは多方面に積極的ですね。最終形は燃料電池でしょうか。


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