native dimensions blog

新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

狭いと広いと低いと高い

2010-04-27 17:55:53 | こだわり設計

一度でいいから会ってみたい。

狭くて低い家が好きな人。

どうも、歌○です。

今まで、こんな要望を伺ったことはありません。

「少しでも広く

これが普通です。

天井も高いか低いかどちらが好きかを聞けば、当然高い方が好きと返事が返ってきます。開放的に感じられる為ですが、理由はなくとも「大は小を兼ねる」的な発想で高い方を好む方もいらっしゃいます。

但し、吹き抜けまでは要らない方もいます。冷暖房費が掛かりそう、掃除が大変そう、ランプの交換が大変そう、勿体無い等を考える現実的な理由です。

ちなみに私の設計する住宅のベースになっているテーマは狭くて低い

あっ、ここにいました。狭くて低い人。←心がじゃないですよ。

現在、日本の住宅は2m70cmの天井高があれば高い部類に入ると思います。玄関入って、廊下歩いて、部屋に入って、トイレに行って・・・。どこに行っても2m70cmだったら、確かに高いです。

でもそれは、どこに行っても平らな天井と言う事。目に刺激がないんです。

私が設計で心掛けているのは、ギャップが感じられる事。ギャップを作り出す事。

つまり、低い所があるから高い所が高く感じられるんです。そして、そこは開放的な空間になるんです。他とギャップがあるから、開放感があるんです。

たしかに「~」だけじゃダメな事もあります。

広くする事も必要だと思いますが、決して広い事が開放的でイコール良い事でもありません

それは温泉や銭湯に行くと分かります

あれだけ大きな湯船なのに、堂々と真ん中で浸かっている人は私以外あまり見かけません。←私は真ん中大好き

単に背もたれが欲しいからという理由もありますが、空間が広くなればなるほど、どことなく落ち着かなくなって隅に寄りたがります。動物的な本能ですよね。

つまり、表面では開放的な空間を求めていても、潜在的には狭い方が落ち着くという矛盾した欲求があるんです。

だから、広い空間を作って、開放的ですね。

ハイ終わり、じゃ設計したとは言えません

当然逆も。

予算の関係で狭くなっちゃいました。

しょうがないですよね。

ハイ終わり、じゃ設計したとは言えません

広くても落ちつける空間、狭くても広く感じられる空間作りが設計には必要です。

造り付け家具や置き家具、間接的な間仕切り、時にはお客様の感覚的な部分で解決する事もありますが、生活までを考えての提案が設計士には必要です。

建築での提案は無数にありますが、何をすればちょうどいいのかはお客様と会話を積み重ねて気が付くものです。

だから、ベースに低くて狭いがあって、お客様のちょうどいい高さと広さを設計すると、開放的で落ち着く空間になるんです。


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