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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【ministock-09(terrace)】過コンプライアンス-小さい二世帯住宅-

2019-07-09 20:01:42 | ministock-09(terrace)
完全分離型二世帯住宅(つまり家を2個くっ付けちゃった住まい)のミニストック-09

延べ床面積35坪

ミニストック界のガンダムGP-03と言えるでしょう。

そのため使っているサッシも12本といつもよりも多めですが、
それでも、一般的な35坪の住まいよりは少ないはずです。


少ないから不便なの?とかではなく、そこに付けるサッシ1か所のポテンシャルを最大限引き出して、数を少なくしていると言っていいでしょう。

例えば、窓の一番の役割が室内に光を取り入れること。
これは、建築基準法第28条にも定められています。

どういうことかと言うと、隣の建物に接しているような場所に窓付けたって、ちっとも光は入ってきません。
ちゃんと光が入る有効な場所にサッシを設けて、適切な部屋の明るさを確保してくださいというもの。

逆を言えば、敷地境界ぎりぎりに家を建ててしまうと真っ暗な家になりますよ。
適切な離れを取ることで、光を取り入れたり風の流れを作ってくださいという意味になります。

ただ暮らせればいいじゃなくて、生活の質を高めることも法律に組み込まれているんです。

そして、法律ではこれが数値化されていて、
光が入ってくる有効な場所に取り付けられたサッシの面積が、居室(人が過ごす部屋)の床面積の1/7以上になるように定められています。

つまり、14㎡(≒8.5帖)のお部屋であれば、有効な位置に2㎡(2m×1m)のサッシが1か所必要ですよってことになります。

ミニストック-09の場合、

まずは、親世帯のとあるお部屋。

赤線の部分を見ると、サッシの面積2.3253㎡に0が掛けてあって、計算結果が0になっています。

つまりこのサッシは法規上光を取り入れる機能を持っていないという扱いになります。
この窓はあくまでも換気用の窓。

そして、青線の方。
もう一方の窓で採光面積を確保してあるので、
結果、
この部屋の基準である3.2㎡を大きく上回る6.94㎡となっています。

次に、若世帯のとあるお部屋。

同様の計算を行うと、
基準の10.41㎡に対して、53.37㎡というありえない面積。
基準の5倍超って。

コンプライアンスにもほどがあるで~、って突っ込まれそう。


でも、一番最初を思い出してください。
使っているサッシは家全体で12本。
全然少ないんです。

何気なくサッシを選ぶんじゃなくて、いかにポテンシャルを引き出すか。
一つ一つの丁寧な設計が、よりよい住まいを引き出します。

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