今日は工務店さんから設計協力の依頼があった物件の構造計算をしていました。
なかなかやんちゃな間取りでしたのでおっきな梁が必要でした。
すっごい目立ちますね。
ひと昔前は、おっきな梁=丈夫な家でしたが、
今時は、構造計算された家=丈夫な家です。
だから、このお住まいも丈夫なんですけど、どん位丈夫なのかっていうお話です。
その前に、毎度構造のお話に出てくる私の変なこだわり。
とにかく建物のバランスを良くすることにこだわっちゃうこと。
「偏心率」という検討で表現されますが、
今回も安定のバランス
0.3以下にする基準に対して、はるかに小さい数字。
めちゃくちゃブレない建物です。
最初に書いた通り、なかなかやんちゃな間取りでしたが、「建物のへそ」を見極めるのが建築士の職能と言えます。
さて、本題に入ります。
イマドキの丈夫な建物の指標と言えば耐震等級。
等級は1~3まであり、3が一番丈夫な建物です。
その「耐震等級」ってナニモノっていう話です。
新潟県は全域で雪がたくさん降る地域に指定されているので、屋根に雪をたっぷり載せて構造計算します。
それに対して関東とかでは、雪がそんなに降らないから、うっすらと雪を載せて構造計算します。
耐震等級とは、構造計算上「地震力を基準法の1.25倍にする」が耐震等級2、「地震力を基準法の1.5倍にする」が耐震等級3で表されます。
今日検討した建物は屋根に雪を1.2m載せて耐震等級2の計算をしました。
条件的にはこんな感じ。
水色の四角の通り1.25倍
その結果が赤い四角で囲まれた
2階は51.97kN
1階は76.53kN
重たければ重いほど耐震設計が難しくなります。
で、
このお住まいを関東で建てる場合、
つまり雪をあまり載せずに耐震等級3で検討してみました。
こうなりました。
水色の四角の通り1.5倍
赤い四角の数字は
2階が34.45kN
1階が66.40kN
ね。
最初に耐震等級3が一番丈夫と伝えましたが、
雪をたくさん載せた耐震等級2と
雪がうっすらな耐震等級3では、
雪をたくさん載せた耐震等級2の方が厳しい条件になるんです。
どちらも耐力壁の量は同じです。
何も変えていません。
その条件における計算結果は、
耐震等級2の場合で、
検定比は0.75
解説すると、配置した耐力壁に対して、地震が来た場合75%の力で耐えることができるということ。
耐震等級3の場合は、
検定比0.50
地震に対して50%の力で耐えられるということ。
このように同じ建物であっても建設地によっては耐震等級2と3の強さが逆転してしまいます。
さらについてでに言うと
雪がたくさん降る地域では、雪下ろしを条件に積雪を1.0mにして検討することも認められています。
その結果、積雪1.2mの耐震等級2と積雪1.0mの耐震等級3も結果が変わる可能性もあったり、
もう一個、
耐震等級の計算は、許容応力度計算と性能評価による計算と2種類あります。
これも計算結果はバラバラになります。
つまり、計算結果よりも計算条件・計算方法が重要になってきますし、それは建築士がどのような目的をもっているかということ。
いろいろある中から選ぶ責任が建築士にはあります。
おまけ
今日のハート君
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