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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【坂の上の狭小住宅】ミニストックじゃない場合。

2018-09-25 22:26:20 | 坂の上の狭小住宅
今秋、着工予定のこの建物はミニストックではありません。

ミニストックミニストックじゃないかの境目って?

ネイティブディメンションズでは、設計する全建物の予定光熱費を平均月額¥20,000以下と定めています。これは10年前に事務所を立上げた時からのルール。
よって、9年前に誕生したミニストックも平均月額¥20,000以下で設計を行っています。

私の中で、ミニストックは4人家族がゆとりをもって住まう規模では最小限と考えていて、
ここで設定した断熱材が一番最低ラインとなります。

そう、標準仕様じゃなくて、最低仕様なんです。
だから、単純に大きい建物を設計したら、予定光熱費が平均月額¥20,000を下回るように断熱材を厚くします。





「いいか悪いかではなくバランス」

性能が同じ場合、建物の面積が変わると、空調する容積が変わる分、光熱費が変わります。


あ、だからミニストックは小さいのか、と直感的に分かる話ですが、むしろ、

高性能の上にあぐらをかいて、無駄に大きな家を作っちゃうと、光熱費が高い家になっちゃうという事に注意しなければいけません。

私はまだ、地球の将来が心配で高性能の家を作る人に出会ったことがありません。
光熱費を下げたくて性能の良い家を希望する方がほとんどです。

それが、「光熱費がかからない家=性能の高い家」に解釈が変換されて、断熱性能が他と比べていいとか、設備が他と比べていいという土俵で考えるようになります。

大切なのは他の家と比べて性能がいいか悪いかではなく、我が家の大きさと性能のバランスがいいかどうかです。





「目的にあった方法を選ぶ」

光熱費を下げたい場合、面積が変わると、空調する容積が変わるので、断熱性能を変えなければいけません。


ネイティブディメンションズでは、物件によって断熱性能が変わります。
建物が小さいほど断熱材が薄く、大きくなればなるほど断熱材が厚くなる。

同じ予算で少しでも大きな家という考え方とは真逆で、
同じ予算で少しでも光熱費を安くという考え方です。
または、光熱費は変わらないけど、建設費が変わる設計をしてるという事になります。





「快適の範囲」

今までとは全く違う考えで
大きな家でも光熱費を下げる方法があります。
それは、必要な時に必要な部屋だけ冷暖房する方法。


そう、全く違うと書いておきながら、いわゆる普通の考え方です。


でもこれって、本当に広いですか。快適ですか。
とても大きな家なのに、冷暖房している部屋でしか過ごせない。
それ以外の部屋に行きたくない。
汗だくでトイレに入っている。
震えながら脱衣室で服を脱いでいる。

小さくても全館空調をしていると、上記の悩みは一切なくなり、階段や廊下でも過ごすことができるようになり、広く使えるようになります。





「ミニストックの何倍」

せっかく冷暖房した室内ですが、熱は他の部屋や外へ逃げていきます。
熱が逃げていく場所は、屋根(天井)、壁、床(基礎)、窓、換気扇からです。
その内のトップ3が壁、窓、換気扇。

窓は元々国内メーカーの中では一番いい部類のサッシを採用しています。窓の面積を小さくすると光熱費が下げられますが、建物面積大きくして、窓面積を小さくするとは支離滅裂です。

換気扇は、住んでいる間に必ず入れ替えが発生するので、入れ替えが安く済む設備を優先しています。

そこで、ミニストックよりも面積が大きくなったので、壁の断熱材を1.5倍にしました。


結果、UA値は0.28w/㎡K、ηAC値は1.0%となり、月々の予定光熱費が¥19,051となりました。
10年前から変わらずのルールに当てはまっています。



大きな家になったから、断熱材が1.5倍になって、材料が増える分建設費も上がる事になりますが、
最大6人で住むことを想定したこの住まいの面積は26坪。

家族の距離感をバランスよくしようとした結果の大きさです。


他と比べるんじゃなくて、バランスがいいかどうかです。











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