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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

住宅瑕疵担保責任保険のその後

2010-08-25 18:57:05 | 建築法規・施策

昨年10月より、住宅の建設において施工店は必ず瑕疵保険(または供託)に加入する事が義務付けられました。

消費者保護が目的のこの法律は、金銭面において非常に安心できます。

しかし、施行されてから約11カ月経過した今、どうにも引っ掛かるフレーズがチラシ・広告・HPで目につきます。

それは、瑕疵保険の保険証を発行する為には、工事期間中に2回の現場検査の合格が必要になりますが、

お客様に対して、「第3者の現場検査があるのでご安心ください」という一言。

広い意味で安心していただけるのは間違ありません。お客様も安心していただいて構いません。

但し、お客様が安心していただけるのは、このまま順調に行って保険証が発行され、将来的に何かあったとしても保険で金銭的な解決が図られるという部分。

しかし、施工店側が訴えている「安心」というのは、「設計と施工の品質」の事に聞こえます。少なくとも私にはそう見えました。

お客様が持てる安心と施工店が訴える安心が微妙にずれています。

現場検査に合格したのだから、施工の品質は間違いないと思いますが、現場検査で確認されている内容は「設計図通りに施工されているか」であって、「基準法や構造計算の中身」を検査している訳ではありません。

つまり設計内容は設計者の責任において確認されるだけで、現場検査員はその図面の計算が合っていようが、間違っていようが、ただ現場が図面通りかどうかだけを検査しているんです。

Photo とある保険会社の施工基準ですが、べた基礎は構造計算を行う事、もしくは配筋表による、と書かれています。

Photo_3  配筋表といっても、べた基礎のスラブ部分しかない為、少なくとも基礎の立ち上がり部分は構造計算をしなければいけない事になります。

Qa_2  また、親切に保険会社のホームページにQ&Aが掲載されていますが、基礎の質問に対しては、結局設計者判断によるという解答になっています。

つまり、少なくとも設計の品質に対しては、現場検査で確認されるものではなく、事前に設計者が構造計算の説明を行う事がお客様へ安心していただく方法になるのです。

そして、正しい図面で施工された現場が現場検査を合格する事で、施工の品質が守られるのです。

腕の良い大工さんに家を建ててもらっても、間違った図面で建てたら、きれいな欠陥住宅が出来上がる恐れがあります。


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