当事務所では、外張断熱を標準施工としています。
外張断熱工法は他の断熱工法に比べコストが高くなる
のが欠点ですが
、熱橋を少なく出来る事と、施工時及び経年変化に対して性能の安定性が図れる事がメリット
で、総合的に判断して外張断熱を勧めています
。
だから、決して「外張断熱は暖かい」からじゃないんです。
というのも、先日打ち合わせの会話の中で、何か会話が噛み合わない気がして話を整理すると、外張断熱のメリットに対するイメージが食い違っていました。
決して「外張断熱は暖かい」だけで話を進めていはいけません。
柱の外側をすっぽり覆うように断熱材を張ってしまえば、なんとなく暖かそうなイメージがあります。
なんとなく暖かそうなイメージが、次第に暖かいイメージに変わってしまったんだと思います
でも、これも小4レベルの計算で解決できます。先日の記事の続きみたいなもんです。
一般的に外張断熱の場合はボード状(発砲系)の断熱材が使用され、充填断熱(壁の中に断熱材を入れる工法)の場合は、グラスウール等の綿状(繊維系)の断熱材が使用されます。
材料には熱伝導率(λ)と言って、熱の伝わりやすさを示す値がありまして、外張断熱でよく使用されるフェノールフォーム保温板で0.022W/m・K、充填断熱でよく使用されるグラスウール16K相当品で0.045W/m・Kです。
この数値は低い程性能がいいので、これも外張断熱の方が暖かいと思わせる原因にもなっているかもしれません。
しかし、断熱性能は熱伝導率と材料の厚さで決まります。正確には、壁を構成する全ての材料の熱伝導率と厚さですが、少し省略して説明します。また、当たり前の話ですが、天井と床も同様の考え方です。
この熱伝導率λに材料の厚さを加味した数値が熱抵抗値Rと言われ、数値が大きいほど熱が通りにくい材料、つまり断熱性が高いのです。
グラスウールは壁の中に充填されますので、一般的に厚さ100mmの材料が使用されます。
0.1(m)/0.045(W/m・K)=2.22(㎡・K/W)・・・①
次世代基準の場合、新潟市で外張断熱にする場合、40mm以上にする必要があります。
0.04(m)/0.022(W/m・K)=1.82(㎡・K/W)・・・②
あれ?
外張断熱は暖かいという神話でしたが、熱抵抗値を算出すると充填断熱に使用されるグラスウールの方①が数値が大きく(熱が通りにくい)なりました。
熱橋を加味してもギリギリ同等かどうかでしょうか。
つまり、「外張断熱」という方法だけではなんの結果も得られないという事です。
ちなみに当事務所では60mmの断熱材を使用しているので、
0.06(m)/0.022(W/m・K)=2.73(㎡・K/W)・・・③
です。
この2.73がすごいだろうと言いたいのではなく、これも結局、プランした住宅を暖かくする為の過程の一部でしかありません。
住む人にとって大切なのは、材料や厚さ、工法ではなく、その家が暖かい事とその燃費です。
燃費を知る為に断熱材を選んで、厚さを考えて、工法を決めて、それを基に計算しています。
全ては、暖かくて燃費のいい家にする為にです。
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