今年の8月に日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)から住宅の耐震診断の結果が公開されました。
昭和25年から平成12年までに建てられた15352棟の木造2階建て以下の住宅が対象となっています。
調査結果は、耐震基準を満たしていない建物が85.5%。
その内、「旧耐震」と言われる1981年以前の建物については、94.7%が耐震性に問題があり、「新耐震」と言われる1981年以降の建物については、76.8%が問題ありと言う結果でした。
なお、新潟県においては623棟が調査され、97.27%の建物が問題ありと診断されました。
びっくりしました?
まぁ、そんなもんだろうとは思います。
既存の建物の耐震診断とは、原則的に目視(非破壊)確認できるレベルで判断します。つまり、建物の耐震性とは、本来、見えない場所にある筋かいの位置や量だったり、柱や梁の補強状況が重要ですが、それらをすべて目視で確認する事はとても難しいんです。
そこで、頼りになるのが当時の設計図書ですけど、それすらない建物が多いので、診断結果としては、「分からない」=「評価が下がる」=「耐震性問題あり」になるんです。
建てた当時、大工さんに「俺が建てるから大丈夫」と聞かされて建てたのかもしれません。
建てた当時、メーカーの営業担当者に「ほにゃらら工法なので安心して下さい」と聞かされて建てたのかもしれません。
これは、本当に大丈夫かも知れません。でも、やっぱり問題あるかも知れません。
つまり、分からないんです。
木耐協の報告では、耐震補強工事の平均金額は約150万円とも出ていました。これで、安心していただきたいですけど、やっぱりこの工事についても、どの様な工事を行って、結果どうなったかの説明を受けないと、結局分からないままの状態がループしてしまいます。
新築住宅においては、長期優良住宅や性能表示を利用する事で耐震性能等が明示され、建て主さんがその書類を保管する事が出来ます。
それは、代替わりや建物を売買した時でも、その書類や図書が一緒に付いて回るので、誰にでも安心していただく事も出来ます。
設計図書等の住宅履歴がしっかりと保存されているという事は、それらの性能により快適に過ごしていただく他に、資産価値の維持にも役立っているのです。
同じ建物を建てても、図面が残っているか残っていないかで随分と違う結果になってしまいます。
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