9月21日、マルイ10階会議室で「東京の水道民営化について考えるシンポジウム」が開かれました。
開会あいさつで、吉田万三元区長が「民営化促進の水道法改正により、命に直結することまでかね、儲けの対象にするようになった。ここで食い止めないといけない」と挨拶しました。
尾林弁護士が水道法、下水道法が憲法25条第2項の公衆衛生について国の責任を定めた生存権保障に基づくものであり、民営化は人権を無視するものと強調しました。
斉藤まりこ都議は、東京都の現状を報告しました。下水道局はコンセッション方式(所有権はそのままで運営権を民間会社に売却)などの導入を検討中、2020年度までに結論を出す予定と報告。
水道局は都政改革本部に提出した報告書で、出資設立した東京水道サービス(株)と(株)PUCを統合、自治体の水道事業を受託していく方針です。
利益最優先の民営化
浜松市の下水道の報告
1、下水道 処分場の運営権を売却、4月から民間が運営。運営会社(フランスの水メジャーヴェオリア社が中心)は業務の60%以上を子会社に委託。運営会社に事業の能力がない。
2、「情報公開は運営会社の規定による」とし、多くの事項が企業秘密になり、議会や住民のチェックができなくなる恐れがある。
3、情報が公開されないまま料金が値上げになる危険が大きい。
4、自然災害による費用増加等は市が負担。
5、設備改修を入札なしで子会社に発注。(水メジャーとは上下水道事業を世界で展開する大企業のこと)
未処理の下水を海に垂れ流し
イギリスでは「水メジャー」の一つが、2016年、未処理の下水を海に放流し、海水浴場が閉鎖となり、2億8950円の罰金を科されました。
今年の4月には下水道処理の法的義務違反の疑いで、司法長官直轄の「重大不正捜査局」の捜査対象になる危険があると報じられています。
外国では民営化見直し再公営化増加
ヨーロッパなどでは、民営化に失敗、32カ国267に自治体が再公営化しています。
パリ市は民営化で料金が3倍になり、市民の批判が高まり、再公営化し料金も値下げになりました。
ベルリン市は民営化で料金が2割上昇の上、30年間は民営企業の利益保証の密約が発覚、再公営化しました。
市が企業の株を買い戻すのに、1500億円かかり、水道料金で住民が負担することになりました。
民営化後に再公営化するには、多大な労力とコストがかかります。
株式会社は利益最優先です。
東京では民営化を許さない運動が必要です。