ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

パールバーバーという名の床屋

2005年12月08日 | アフター・アワーズ
 僕が昔住んでいた小さな町には、「パールバーバー」という名の床屋があった。大人たちも子供たちも床屋に行くときは「ちょっとパールバーバーまで行ってくる」とか、口うるさい母親は「髪がうるさそうだからパールバーバーへ行ってきな」なんてフツーに言っていたものだ。
 
 パールバーバーの店主は、ちょっとエッチで、中学生になると「もう生えたか?」なんてマスクにくぐもった声できき、「おれががきの頃は、驚いて店の剃刀でもって剃っちまったら、そりゃ、あとが痛くてたいへんだった」なんて思い出まで披露してしまう始末。その剃刀を顔にあてられたお客こそたいへんだ。
 
 その店主は、ビートルズ人気のおかげで若者が髪の毛を伸ばすようになって客足が減ったとよく不満をもらしていた。その腹いせでもあるまいが、何もいわなければ“潮来がり”にされてしまうといううわさもあった。(写真参照)

 たった一字違うだけで、パールハーバーとパールバーバーでは、なんと違う世界と物語がよこたわっていることか。12月8日になると、ぼくは、やっぱりパールバーバーを思い出す。アメリカ人がパールハーバーを思い出すように。

 ※僕の家の近くには「満州」という餃子屋さんがある。あの満州国の満州だ。中国人に抗議されたという話はきいたことがない。きっと餃子がとってもおいしいからだろう。
コメント (1)
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